ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2016年7月11日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

一般人にはハードルの高い
「食事摂取基準」や「食事バランスガイド」

 ここでは、主として、ビジネスパーソンを念頭に、健康・長寿に役立つ情報を提供していきたい。とはいっても、対象がビジネスパーソンだろうが、成長期の児童・生徒であろうが、中高年であろうが、お年寄りであろうが、健康にいい食習慣の基本に大きな違いはない。一口でいえば「バランスよく、適量」を食べればいいのだ。しごく単純である。ただし、単純ではあってもけっして簡単ではない。

 エビデンスから導かれた理論が明らかになってはいても実践が伴わないからだ。私たち日本人にとって、「何をどれだけ食べれば健康で長生きできるか」は相当にたしかな情報によってすでに明らかになっている。その最新情報は『日本人の食事摂取基準2015』(※1)という形で提供されている。時間と興味のある人は一度見ていただきたい。かなり詳細な情報が、きわめて確かな根拠に基づいて、明らかにされている。

 が、その情報は「料理」ではなく「食材」でもなく「栄養素」という形で提供されている。そのため、これを理解できる人はほとんどいないといってよいだろう。たとえ管理栄養士や医師であっても、勉強不足の人では「手に負えない」だろうと推測する。もちろん、素人には「何のこっちゃわからん」というシロモノだ。「たんぱく質60グラム」といわれてもわかる人はほとんどいないだろう。

 現在、これを実際に役立てている人といえば、たとえば学校給食や病院給食の献立を考えている管理栄養士、あるいは糖尿病や高血圧症の患者に食事指導をする専門医くらいではなかろうか。

 これではいけないと(思ったかどうか定かではないが)食事摂取基準を「料理段階」にまで落とし込んだ「例」を、2005年、厚生労働省と農林水産省が(文部科学省の協力も得て)作成した。それがコマ型の『食事バランスガイド』(※2)だ。このイラストには「一日に何をどれだけ食べればいいか」が「料理」で示されている。食事摂取基準よりもはるかに具体的になってはいるが、使いこなすのは、やはり、難しい。「何を=質」はかろうじて理解できても、「どれだけ=量」がわかりづらい。「食パン1枚」や「ロールパン2個」などはわかりやすいかもしれないが、「野菜サラダ」や「野菜の煮物」をどれぐらいの量食べればよいのかは、このイラストからはよくわからないだろう。

【※1】
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

【※2】
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html

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