赤坂英一の野球丸

2016年7月13日

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赤坂英一 (あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。最新刊『すごい!広島カープ 蘇る赤ヘル』(PHP文庫、『広島カープ論』増補改訂版)が重版出来で2万部突破。ノンフィクション『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)が第15回新潮ドキュメント賞にノミネートされた。ほかに『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『プロ野球コンバート論』(PHP研究所)など。

 今年のセ・リーグ、首位を独走する広島がこのまま10ゲーム以上の大差をつけて優勝を決めるのか。それとも、追いかける巨人が巻き返して逆転優勝する可能性もあるのか。

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 この両者の優勝争いで思い出されるのが、いまを去ることちょうど20年前、前半戦で広島がぶっちぎりながら、後半戦から巨人が11・5ゲーム差を引っ繰り返して優勝した1996年のシーズンである。当時、巨人監督の長嶋茂雄さんがしきりに唱えていた造語「メークドラマ」が流行語大賞を受賞、プロ野球を超えた社会現象にまでなったものだ。

 巨人はその後も、原辰徳監督時代の2008年に13ゲーム差をはねのけて優勝。今度は「メーク・レジェンド」という言葉を流行らせている。そんな昔日の栄光が忘れられない巨人の首脳陣や関係者は、自らを鼓舞するかのように主張する。勝負はこれからだ、長いシーズン、何が起こるかわからないぞ、と。

札幌2連戦2連勝で勢いづいた巨人

 では、その巨人が広島を抜き去った1996年は、何が逆転優勝のきっかけになったのだろう。当時から取材していた私が、長嶋さんや選手たちに何度も聞かされたのが、「(7月9、10日の)札幌の直接対決2連戦で2連勝できたことが大きかった」というセリフである。とくに2連戦の初戦で、広島に1点を先制されて迎えた二回、2死無走者からプロ野球タイ記録となる9打者連続安打で逆転。犠打とチーム打撃が身上だった川相昌弘(現三軍監督)に自身初の満塁本塁打まで飛び出し、巨人がまだまだ死んではいないことを見せつけたのだ。

 勢いに乗った巨人は翌日の2戦目も快勝。それでも広島とは依然9ゲーム差と、かなり不利な状況に変わりはなかったが、「広島にやられっぱなしではいられない。いまからでも十分に追いつけるという自信になったよ」と満塁弾を放った川相は力強く語っている。ちなみに、川相はこの96年から選手会長に就任したばかり。チームリーダーの大活躍が巨人打線に火を点けたと言ってもいい。

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