2024年4月20日(土)

BIG DEAL

2016年7月13日

 そのような地政学リスクは、投資家の最も嫌うリスクである。リスクが顕在化すれば新規の投資は行われないし、既存の投資も引き揚げられる。投資がなければ経済の成長もないし、雇用は生まれない。自らを守ろうとして他を排斥し続けることで混乱が続けば、そのつけは結局自分に戻ってきてしまうのだ。

60歳と、これから60年生きる人の1票が同じ

 ところで今回の参院選は、18歳からの投票が初めて認められた歴史的選挙であった。若者の様々な意見を各メディアが報じているが、7月11日の日経新聞の記事に次のようなインタビューの引用があった。回答者は19歳のアルバイトとある。

 「今の60歳とこれから60年生きる人間の1票が同じだなんて納得できない」

 率直な感想である。60歳の人編がこれまでこの国にどのような貢献をしてきたかなど考慮だにせず、これから社会のコストになって行く層と位置付け、それを支えなくてはいけない自分と対比する。そこに宿る不安と不満。そう、斯様に人間とは利己的なものである。富豪の節税ニーズも純粋な利己主義の賜物である。要は利己の塊である民意というものを、誰に託したら満足度の最大化が図れるかということだ。

 Brexitに関して最大のジョークがある。キャメロン憎しでEU離脱に一票を投じた人が、Brexitの意味ともたらす結果を理解しておらず、今になって後悔しているというものだ。これはジョークではなく、大衆迎合的なアプローチの結果がもたらした悲劇である。今の野党は力がなく、「安倍憎し」でしか攻められなかったが、それでも安倍政権の続投を支持した日本人は理性を持っているのだと安堵した。繰り返しになるが敢えて言う。当選した先生方、あなた達は利己の塊から満足を最大化する能力があると思って選ばれたのである。それを十分理解して実践して欲しいものである。
 

  
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