海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年7月17日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「ペンス知事とケイン上院議員」です。共和党の事実上の候補となった不動産王ドナルド・トランプ候補は、簡易投稿サイト「ツイッター」で中西部インディアナ州のマイク・ペンス知事を副大統領候補に起用すると発表しました。ペンス知事は57歳で、下院議員を6期12年務めました。当初、7月15日に会見を行う予定でしたが南仏で発生したテロのため、トランプ陣営は翌日16日(共に現地時間)に延期したのです。

副大統領候補としてマイク・ペンス氏の起用を発表したトランプ氏(Getty images)

トランプが副大統領発表を延期した理由

 発表の延期には意図があります。トランプ候補は、テロの犠牲者とその家族に哀悼の意を表し、米国民は仏国民と共にいるというメッセージを発信して、大統領らしく振舞ったのです。2012年米大統領選挙で共和党候補であったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事は、リビアのベンガジで起きた米領事館襲撃事件の犠牲者及びその家族に哀悼の意を捧げることなしに、即座にオバマ大統領を攻撃したために、逆に批判されてしまいました。トランプ陣営は、その教訓を学んでいるのです。恐らく、政治顧問ポール・マナフォート氏のアドバイスでしょう。

 本稿では、まずトランプ候補のペンス副大統領候補の起用について分析を行い、次に民主党の指名獲得を確実にしているヒラリー・クリントン候補の副大統領候補と目されているティム・ケイン上院議員(民主党・バージニア州)起用のメリットについて考えてみます。そのうえで、ケイン上院議員のコミュニケーションスタイルも紹介します。

トランプのペンス副大統領起用の思いと狙い

 ペンス知事起用にトランプ候補の心境を窺うことができます。以下で、同候補の思いと狙いについて述べていきます。

 第1に、党内の統一を重視しています。共和党候補指名争いで対立を深めた主流派との関係を修復し、結束を図りたいというトランプ候補の思いがペンス知事を選定したことに強く現れています。

 第2に、ペンス知事の行政経験及び議会との調整能力に対するトランプ候補の期待を窺うことができます。共和党候補指名争いにおいて同候補は、政治家としてキャリアを積んできた職業政治家、エスタブリッシュメント(既存の支配層)及びワシントンの上下両院議員並びに知事を含んだインサイダーを批判してきました。ところが同候補は、副大統領候補は行政経験のある政治家が望ましいと発言をしていました。現実路線を選択したのです。

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