前向きに読み解く経済の裏側

2016年8月1日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

政治的には過疎地を維持するか、といった問題も浮上

 現在までのところ、過疎地に道路を整備する事業は、効率は悪いけれども失業対策の面もあるので、特に反対意見は強くありませんでした。しかし今後は、労働力不足の時代を迎え、「過疎地の人々に都会に移住してもらえば、過疎地への道路を整備する必要がなくなり、道路建設要員が介護に従事できるようになる」といった意見が強まってくるでしょう。

 「生まれ育った過疎地で暮らしたい」という人々の希望をどこまで尊重するかは政治の問題ですから本稿では深入りしませんが、仮に「過疎地から都会に引っ越していただければ年金を2倍支払います」といった制度ができるならば、財政赤字の面では大いに助かることになるでしょう。

最後の最後は日本人が一人になるので財政赤字は解消

 極端な議論ですが、少子化で一人っ子と一人っ子が結婚して一人っ子を産むことが続くと、最後は日本人が一人になります。その子は家計金融資産の1700兆円を相続します。同時に政府から1000兆円の税金を課せられるでしょうが、手元に700兆円残るので、豊かな人生を送るでしょう。

 つまり、「財政赤字は子供たちに借金を残すから世代間不公平だ」という議論はミスリーディングなのです。その部分だけを切り取れば正しいのですが、日本人の高齢者は平均すれば多額の資産を残して他界しますので、後世の世代には遺産が入るのです。

 つまり、世代間不公平ではなく、遺産が相続できる子とできない子の世代内不公平が問題なのです。これについては、相続税率を高くする、資産課税を行う等々の議論があるでしょうが、政治の問題ですから本稿では深入りはやめておきましょう。

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