障害と共に生きる~社会で活躍するチャレンジド

2016年8月12日

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いじめにあって聞こえないことを隠し通した中学時代

松森果林さん

松森 学校を休む日も多くなり「果林ちゃん、耳が聞こえないらしい」といううわさが広まりました。クラスの男子からは「つんぼ」と言われて、からかわれたり、いじめられたりするようになったんです。そんな経験から耳が聞こえないことは隠していこうって決めました。11歳の時です。自分を守るにはみんなと同じようにふるまう以外に方法がなかったのです。

 親にも「薬を飲んだら治ってきたみたい」なんて悲しい嘘もつきましたし。みんなが笑っていれば理由が分からなくても一緒に笑い、何を言っているのか分からなくてもうなずいたりもしました。

 授業中に差されても聞こえないから「わかりません」と答えるしかないし、ちぐはぐな答えをしてクラスメイトから笑われることも多かったです。

初瀬 自分の障害を隠さなければいけないなんて、中学生なのに辛い経験をしましたね。

聴力失って絶望の淵に立たされた高校時代

松森 その後、残りの聴力も少しずつ低下し、高校2年の冬に右耳が聞こえなくなりました。前日まで聞こえていたのに、朝起きて、咳をしたその音が聞こえなかったのです。「えっもしかして!?」と思って、声を出したり、水道の蛇口をひねってみたのですが音が聞こえません。家族が会話をしながら朝食を食べている様子を見ても、何も聞こえてこないのです。パンを食べてもスポンジみたい、オレンジジュースはただ苦いだけ、昨日まであった感覚がすべてなくなってしまったように感じました。

初瀬 その後、生活はどのように変わったのですか。

松森 聴力を失ってからの私は、「聞こえない自分なんか生きている価値がない」と思うようになって、毎日のように、どうしたら死ねるだろうか、とそればかりを考えていました。

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