オトナの教養 週末の一冊

2016年7月29日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

 世界中に散らばる「シャーロキアン」のうちでも、我がホームズ愛こそ一番だと誰もが思っているに違いない。私もその一人だ。

 シャーロック・ホームズ「最後の事件」で、宿敵モリアーティ教授とホームズが組んずほぐれつ落ちて行ったライヘンバッハの滝(スイス)で、恐る恐る滝壺を見下ろし、二人の影を探したほどなのだから。

 それはさておき、本書を訳した日暮雅通氏によると、ここ数年、何度目かのホームズ・ブームが訪れているという。

多くのシャーロキアンから絶賛される

『シャーロック・ホームズの思考術』(マリア・コニコヴァ 著、日暮雅通 翻訳、早川書房)

 ベネディクト・カンバーバッチがホームズを演じたBBCテレビ「シャーロック」シリーズを機に、2010年ごろから新たなシャーロキアンが世界中に増殖しているらしい(もちろん私は、グラナダTV版のジェレミー・ブレットこそホンモノのホームズだと思いこんでいるが、カンバーバッチも現代版ホームズとして魅力的だ)。

 サー・アーサー・コナン・ドイルがホームズ・シリーズを世に送り出したのは1887年から1927年にかけてであるが、今やそれらは国と時代を越えて読み継がれる古典となった。数えきれないほど映像化され続けているのみならず、ホームズ・パスティーシュや学問的に分析したノンフィクションも数多い。

 そんななか、科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」に連載されたゲスト・ブログを元にした本書は、連載中から多くのシャーロキアンに絶賛された、と日暮氏の解説にある。

 私自身、記者として初対面の相手を観察し、どう会話を導いて、重要な答えを引き出すか、常々、ホームズのやりかたに感嘆していたところなので、ホームズの思考法を心理学的に分析したという本書を手にとってみた。

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