2024年4月26日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2010年1月22日

 やはり、成長の中で分配していかなければ国民の豊かさ増進のみならず格差是正も難しい。この観点から見れば、「新成長戦略」は成長と雇用拡大などによる分配に配慮されており、バランスはある。

 一方、産業育成の姿勢は強く出ているものの、その担い手である企業に対する競争政策が見えないのは残念だ。企業は雇用や賃金を通じて国民の豊かさを支えているだけに、その競争力向上やより優良な雇用賃金の提供について最大の関心が払われなければならない。

 聴き心地のよい形で「新成長戦略」を文章化して終わり、では困る。ぜひ、成長戦略を確実に実現するために、増税や市場メカニズムなど厳しい措置も含めてしっかりと肉付けし、断行して国民に豊かさをもたらしてもらいたい。

 「新成長戦略(基本方針)」発表にあたり、政府は政治の強力なリーダーシップで「新成長戦略」を断固実行するとしている。まさに、「新成長戦略」で問われているのは、企業と国民を巻き込んで経済活性化を図る具体的政策であり、それを断行して国民を豊かにする気概を持つ堅固な政治的意思である。

 

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