2024年4月24日(水)

BIG DEAL

2016年7月30日

 ホテルに関しては、一般に星の数が増えるほどセキュリティは向上する。ジャカルタの多くのホテルでは、エントランスにアプローチする際、1台ずつしか入れないような細い通路を通らねばならず、ここでセキュリティチェックを受ける。テロリストが突っ込んできた場合でも、この隘路で時間を食うので初動の態勢が整えられるという計算だ。インドネシアでは通貨危機の後、ホテルが爆破されるというテロが何回か発生している。それらは欧米系の有名ホテルであるが、そのようなテロを経験したホテルのセキュリティはしっかりしている。値段も高いが、セキュリティの経験値を含んでいるとも考えられる。

 ホテルの宿泊料はシーズンやイベントで常に変わるので、毎回バジェットを満たしてくれる中で最も利便性を高いものを選びがちだ。つまり出張のたびにホテルを毎回変えるということだが、安全の観点からいえば定宿を決めたほうが良い。宿を定めることで、中の設備や避難経路の知識もできるし、出張回数の多い人であればなじみのスタッフもできるであろう。非常の際に便宜を図ってくれることがあるかもしれない。

身を守るためのコスト、高いか、安いか

 以上、色々述べてきたが、近時のテロから身を守るためにできることはある。それらはどうしても多少の追加コストがかかる。しかし、インドネシアであれば、エスコートサービスが約5000円、一般タクシーからリムジンへのアップグレードで追加2500円という具合にさほど大きな金額ではない。そのような金額が会社にとってどれだけCritical(重大か)ということを、よくよく総務と議論してみるべきだ。

 ただ悲しいかな、出張をしたことがない人が作る出張規定は、出張者のニーズを汲むことができない。ゲートボールを知らない人が、そのルールブックや教則本を書けないのと同じである。だが何かあってから「惜しい社員をなくしました」と嘆いても意味がないのである。海外では携帯を切って電話代を節約しろなんて言語道断。社員を危険にさらし、間接的にテロに加担するような行為である。外に出ることがMustである日本企業。それを実践する企業戦士たち。そのような社員の安全を守るために、全社を挙げてサポートしてほしいものである。
 

  
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