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2016年7月29日

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亡命希望者による事件が相次いだドイツで、メルケル首相は28日、難民受け入れ政策を転換するつもりはないと述べた。その上で首相は、当局間の情報共有、インターネット上の会話解析、インターネット上の武器売買取り締まりなど、警備体制強化の新たな措置を提案した。

夏季休暇を中断してベルリンで記者会見したメルケル氏は、攻撃犯たちは「私たちの地域社会の連帯感を損ない、私たちの開かれた社会の在り方や、助けを必要とする人たちを助けようという意欲を損なおうとした」と述べ、「私たちはこれを断固としてはねつける」と表明した。

メルケル氏は攻撃犯たちが「自分たちを受け入れた国を辱めた」と批判しつつ、迫害や戦争を逃れようとする人たちは保護される権利があると述べ、ドイツは保護されるべき人をかくまうという「理念を堅持する」と強調した。

首相はフランスやベルギー、トルコ、米国など各国各地で起きた攻撃にも触れ、「文明のタブー」が侵されたと指摘。「文化や宗教の間に恐怖と憎しみを拡散」することが目的だと批判した。

その上で首相は、移民100万人の受け入れを昨年表明した際に使い、有名になった「Wir schaffen das(私たちにはできる)」というフレーズを念頭に、「私は今でも『私たちにはできる』と確信している」と述べた。

「これは私たちの歴史的な義務であり、グローバリゼーションの時代における歴史的な課題です。ここ11カ月の間に私たちはすでに、実にたくさんの成果を出してきた」と首相は表明した。

メルケル氏はさらに、「組織的なテロ攻撃のほかに、警備当局に知られていない犯人による脅威が新たに出現する」と指摘し、対策として「亡命希望手続きの最中に何か問題があれば、その時点で当局が気づけるような早期警戒体制が必要だ」と述べた。

首相はその上で、「市民の安全を守るために必要な対策をとる。(移民の)社会融和の課題を真剣に受け止めている」と対応を約束した。

ドイツ南部バイエルン州ではこのほど、亡命希望者による攻撃が2件続いた。24日にはアンスバッハでシリア人男性が自爆し、15人が負傷した。男性は難民申請を却下されたが、シリア情勢を考慮して一時滞在を認められていた。また18日夜には南部ビュルツブルクの列車内で、亡命希望のアフガニスタン人少年がおのやナイフで乗客を襲い、5人が負傷。いずれの容疑者も、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っていたという。

22日にミュンヘンで9人が死亡したショッピングセンター乱射事件は、イラン系の10代少年による犯行だったが、捜査当局はイスラム聖戦主義は無関係だとみている。

さらに24日には、ドイツ南部ロイトリンゲンで、シリア出身の難民希望者が、ポーランド人女性をなたで殺害したほか2人を負傷させたとして逮捕された。警察は「激情にかられた」犯行だった可能性を示唆している。

(英語記事 Merkel rules out migrant policy reversal after attacks)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36921240

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