2024年4月25日(木)

WEDGE REPORT

2016年8月13日

デビッド・コッチ・シアター前に掲げられた宝塚版『シカゴ』のポスター(筆者撮影)

 主演を務めたのは過去の卒業生のトップスターたちで、合計6回の公演で峰さを理、麻路さき、姿月あさとが弁護士ビリー・フリン、和央ようか、湖月わたる、水夏希はヴェルマ・ケリーを、そして朝海ひかると大和悠河はロキシー・ハート役を日替わりで出演という、オールスター豪華キャストだった。

 とはいうものの、本家のミュージカル「シカゴ」は、現在もリンカーンセンターから2kmと離れていないブロードウェイの劇場で上演中である。ミュージカルの本場であるニューヨークに乗り込むのに、よりによって大胆な選択をしたものだと驚いた。

手厳しかったニューヨーク・タイムズの批評

 案の定、ニューヨーク・タイムズの批評は辛口だった。

 7月21日付、チャールズ・イシャーウッドによるレビューの切り口はこうだ。

 Do the Japanese have an expression similar to the British one, noting the folly of bringing coals to Newcastle? Maybe something about bringing a tuna fish sandwich to a sushi bar?

 (日本には、英国の「ニューキャッスルに石炭を持ち込む愚か者」に匹敵するような諺はあるのだろうか? 寿司屋にツナサンドイッチを持参する、というような感じだろうか? ※筆者注:ニューキャッスルは炭鉱のある町)

 冒頭からギャッと悲鳴を上げたくなるような、手厳しさである。でも最後まで小言ばかりではなかった。

 「シカゴ」の間の取り方、フォッシ特有の振付の味わいなどが感じられなかったと批評した一方、歌は全体によくこなれていて、特に峰さお理(ビリー・フリン)が朝海ひかる(ロキシー)を膝にのせて、操り人形の腹話術を披露するナンバーはハイライトだった、と評価する。

 また最後に見せた「Takarazuka Encore」と名づけたレビュー風の作品のメドレーは、純粋に楽しめたと褒めてあった。次回は是非、彼女たちの本拠地を訪ねて「ベルサイユのばら」など宝塚らしい作品を見たいと結んであるので、決して悪意のある記事ではない。


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