2024年4月26日(金)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年2月1日

核「先制不使用」で日本を守れるのか? 
深刻な疑問が山積

 だが我々は、こうした期待が持てそうな言葉とは裏腹に、米国側には依然、非常に根深い懸念が残っていると明言できる。

 具体的には、今、オバマ政権と鳩山政権が踏み込んで話し合う必要がある懸念材料が存在しており、場合によっては、日米両政府が「中国の台頭」をどう見るのか、そして経済的、戦略的な事象に対してどうしたら両国が最もうまく協調できるのかといった数々の問題について、原点にまで「立ち返る」必要があるということだ。

 また、誠実な政府と真の「透明性」を促進するという民主党の決断は、原則としては賞賛に値するものの、このために旧ソ連と毛沢東時代の中国と対立する冷戦全盛期に米国の核兵器に関する「密約」がどう扱われたのかという過去の問題が突如、戦略的な意味合いを帯びることになった。

 さらに「核」について言えば、日米両政府は、米国に核兵器の「先制不使用」宣言を求めるという民主党内の議論が一体何を意味しているのか話し合う必要がある。それも、日本が北朝鮮、あるいは中国から攻撃された場合に――それが現実的にはどれだけ可能性が低かろうが――、米国がいかにして日本を守る法的(かつ道義的な!)義務を果たせるのかという観点から、先制不使用が持つ現実的な意味を議論しなければならない。

やってきた民主党大物議員の説明に、口あんぐり

 一方、日本側では、普天間の議論そのものが示したように、沖縄の米軍基地、とりわけ海兵隊の存在が日本国民の防衛にどう関係するのかということを、米国が論理的に説明できなかったことは明白だろう。

 例えば、我々は訪米中の民主党議員と話した時に、彼らが揃って日本は米国に「厚意を施している」のだと言わんばかりの調子で、ホストネーション・サポート(いわゆる思いやり予算)や米軍基地などの極めて重大な問題について話すの聞き、正直ぞっとさせられたことがある。

 実際、かなり高い地位にある民主党議員は我々に向かって「日本がこのお金を払っているのは日米の友好関係のためですよ」と言い、続いて我々が、日本の駐留米軍基地が今いかに日本の防衛に直接関与しているか、そして今も存在する北朝鮮からの核・ミサイルの脅威だけでなく、将来「台頭する中国」が暴れるリスクからいかにして日本を守っていくのかという議論を切り出すと、びっくりしてみせた。

 これはナイーブな考えに聞こえるかもしれないが、この大物議員は日常の政治的義務や対話において、こうした問題を検討することを迫られたことが一度もないのだ。それも、これまでは、の話だが・・・。

 そうなると私のような評論家は嫌でも、普天間基地やインド洋での給油活動、中国との接近、その他諸々の極めて重要な戦略問題について、民主党の指導者層が戦略的な観点をまともに考慮することなく意思決定を行っているのかもしれないと気づかされるのである!

発端は、鳩山サンの例の「寄稿」

 もっとも、正直に言えば、こうした懸念は全く意外なものではなかった。


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