オトナの教養 週末の一冊

2016年8月18日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

 少し前までは聞き慣れなかった「民泊」という言葉が、最近は普通になってきた。本書は、その民泊についての理解が進む本である。筆者も仕事柄、出張が時々あり、各地のビジネスホテルに泊まることも多い。最小限の機能しかないものの、必要なものは大抵そろっており、1万円前後で安全かつ快適な部屋に泊まれるスタイルは、日本ならでの良さだと思う。実際、欧米の先進国の主要都市で、日本のビジネスホテル並みの部屋に宿泊しようとしたら、当節は最低でも1泊200ドルから300ドルをかけないと泊まれないというイメージである。それでも多くの場合、費用対効果の満足度は日本のビジネスホテルには及ばないことが多い。

 ところが折からの訪日外国人の増加に伴って、日本国内でも出張の際の宿探しに困る事が多くなってきた。宿泊のみ(素泊まり)でも価格は高くなる傾向が続いており、会社の規定の出張旅費では足が出る場合もある。今からこんな状態では、4年後の東京五輪・パラリンピックの時にはきっと大変なことになるだろうと、この分野に詳しくない身でありながら実感する。

利用者のマナーによるトラブル続出

『民泊ビジネス』
(牧野知弘 著、祥伝社)

 そこで民泊を活用しようというのが現在の流れであろう。個人的には、他人が所有する、あるいは、現在住んでいる家に泊まるというのは、親戚や友人など、よほど親しい人でもない限り抵抗があるものだと思うが、外国人にはそれをいとわない人も多い。双方で合意し、安くて快適に過ごせればいいということであれば、それはそれで合理的なのだろう。しかし、本書でも指摘しているように、民泊には課題も多い。なんと言っても利用者のマナーに起因するトラブルである。

 〈宿泊した外国人は、ゴミ出しなど入居者の共通ルールがわかりません。ゴミを平気で廊下に放り出すわ、夜中まで大騒ぎはするわ、お客さんどうしで喧嘩になるわで、クレームが続出して管理組合が対応に追われたのです〉

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