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2016年8月25日

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イギリス独立党(UKIP)の代表退任を表明しているナイジェル・ファラージ氏は24日、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏の支援者集会に参加し、「ウォーキング靴を履いて」トランプ氏支持拡大のために働くよう共和党員に呼びかけた。

ファラージ氏はミシシッピー州ジャクソンの集会で活動員1万5000人を前に演説し、共和党のために「希望と楽観のメッセージ」があると切り出した。各種世論調査でトランプ氏が民主党候補のヒラリー・クリントン氏に支持率で下回っていることを念頭に、共和党は「世論調査員に勝てる」と訴えた。

英国の欧州連合(EU)離脱運動を長年にわたり推進してきたファラージ氏は、ホワイトハウスを目指すトランプ氏の戦いと、ブレグジット(英国のEU離脱)実現のために国民投票前に市民と効果的に関わっていった「一般市民の軍隊」の戦いには共通点があると指摘した。

ファラージ氏は共和党活動員に対して、「この国を変えたいなら、ウォーキング靴を履いて、外に出て運動しないと。そして、体制主流派に立ち向かおうと、まともな人たちが一定数集まって立ち上がるなら、なんだって可能です」と呼びかけた。

ファラージ氏はさらに共和党の選挙戦は「素晴らしいチャンスだ」と述べ、「皆さんは世論調査員に勝てるし、コメンテーターたちに勝てるし、ワシントンに勝てる」と強調した。

こうしたファラージ氏をトランプ氏は、EU離脱のためUKIPの運動を「見事に」導いた人物だと紹介した。

トランプ氏は英国のEU離脱を支持し、先週には「近いうちにみんな私を『ミスター・ブレグジット』と呼ぶようになる」とツイートしている。

7月にオハイオ州クリーブランドで開かれた共和党全国党大会に出席したファラージ氏は以前、自らトランプ氏を推進するという「わなには引っかからない」と発言していたが、24日の集会では、もし自分がアメリカ人だったなら「たとえ金をもらっても」クリントン氏には投票しないと表明。たとえクリントン氏自身が「金を払ったとしても」投票しないと述べた。

ファラージ氏は集会の前にはミシシッピー州の地元ラジオ局に対して、ブレグジットと米大統領選の類似点は「奇妙なくらいだ」と述べ、ワシントンの連邦政府とEUの欧州委員会を対比。どちらもそれ自体が「独自の国」になってしまったと多くの人が感じているのが似ていると指摘し、クリントン氏はそれを象徴する体制派そのものだと批判した。

自分は英国で「政治革命」に参加したとファラージ氏は言い、米国でも同じように革命の兆しが見えていると指摘。「ブレグジットに投票した人たちと、ここアメリカで数週間のうちにクリントンを負けさせる人たちの状況と共通性は、奇妙なくらいだ」と述べた。

ファラージ氏はさらに、多くの共和党幹部を含む政界主流派がトランプ氏の運動を毛嫌いしていても、それは構わないと指摘。「ブッシュたちにもクリントンたちにも、ほかの誰にも一度も投票したことがない何百万人もの人たちが、今回は投票するかもしれない。この大統領選でこそ実際に自分の生活や地域社会を変えられるかもしれないと、その人たちが思うようになれば。そういう人たちこそ、大事な観客だ」と助言した。

UKIP党内では批判も

EU離脱か残留かを問う国民投票の実施を現実の政策テーマにまで押し上げたのは、ファラージ氏の手腕によるものと言われる。離脱多数の結果にも、ファラージ氏が大きく貢献したと言われている。

長年の政治的目的を果たしたというファラージ氏は、9月に党代表を退任するが、欧州議会議員としては残る。

UKIPの支援者で戦略担当アロン・バンクス氏はファラージ氏の訪米に同行し、ファラージ氏がトランプ氏と夕食を共にするだろうとソーシャルメディアで書いた。

一方で、一部のUKIP幹部はファラージ氏とトランプ氏の関係を快く思っていない。唯一の下院議員ダグラス・カースウェル氏は、「米共和党にとっていささか、サウス・サネット状態だな」とツイート。これはファラージ氏が昨年春の総選挙で英南部サウス・サネット選挙区から出馬したものの落選したことへ言及だ。

現在は党から停職処分を受けている元政策担当のスザン・エバンズ氏は、ファラージ氏がツイッターでトレンド入りしているが、「こんな理由でこうなるべきじゃない」と批判した。

<分析>アンソニー・ザーチャー、BBC北米記者

ドナルド・トランプ氏にとって、英国のブレグジット投票は、間もなく米国の岸辺にどかんと上陸する政治革命の前触れだ。

英国がEUを離脱すると決めた翌日、スコットランドのゴルフ場でトランプ氏はいみじくもこう言った。

「世界中の人が怒ってる。これでおしまいじゃない」

大統領選もたけなわのこの時期に、圧倒的に保守的なミシシッピー州というのはいささか珍しい選択とはいえ、トランプ氏がブレグジット運動の先頭に立ち続けた人物を迎え入れるというのは、それほど意外でもない。

支持者数千人に「ブレグジット物語」を語ってもらうことで、トランプ氏はおそらく、番狂わせ勝利への期待を高めたいのだろう。勝率はかなり低そうだが。トランプ氏は全国的にも主要激戦州でも、支持率で後れを取っているわけだが、ファラージ氏の成功物語を支持者に聞かせて、自分の不利な状況を忘れさせたいのかもしれない。

ラジオのインタビューで24日、ファラージ氏は、ブレグジットと米大統領選は「奇妙なほど」似ていると、トランプ氏の支持者たちに話すつもりだと述べた。

「(ブレグジットなど)ありえないとみんなに言われた。時間の無駄だと。けれども、しっかりと狙いを定めた石ころを当てて、私たちは巨人ゴリアテを倒したんだ」

(英語記事 UKIP's Nigel Farage speaks at Donald Trump rally

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37182012

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