BBC News

2016年8月29日

ドイツのジグマー・ガブリエル副首相は28日、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた交渉について、対応を間違えばEUの崩壊につながると警告した。

ガブリエル副首相は、ほかのEU加盟国が英国に続くようなことがあればEUは「消滅する」とし、英国に責任を取らせないままいいところ取りをさせるべきではない、と語った。

英国のテリーザ・メイ首相は今週31日に、EU離脱をめぐる閣議を招集する予定。首相官邸は、首相にとってEU離脱問題は「最優先」課題だと述べている。

しかし、英紙サンデー・タイムズは28日、EU統一市場の離脱について閣僚の間に意見対立があると示唆する記事を掲載している。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相の次席で経済相も務めるガブリエル副首相は28日の記者会見で、6月23日に英国で実施された国民投票でEU離脱が決まった結果、世界は欧州を不安定な大陸と考えるようになったと述べた。

ガブリエル氏は、「ブレグジット(英国のEU離脱)は良くないが、経済的な悪影響は一部が懸念するほどではない。心理的な側面の方が大きく、政治的には大問題だ」とした上で、「ブレグジットをうまく整理できなければ、大変なことになる。なので、英国が責任を取らずに、いいところ取りとも言えるようなことを許さないよう気を付ける必要がある」と語った。

メルケル首相は過去1週間に欧州首脳らと相次いで会談を行い、英国離脱後の欧州の将来が主要議題となる来月の欧州首脳会議に備えた。

メルケル首相は、加盟国がお互いの主張に慎重に耳を傾け、政策的な決断を急がないようにするべきだと述べている。

一方でメイ首相は、31日に首相の公式別荘「チェッカーズ」で閣議を主催し、EU離脱の基本的な計画の策定を開始する。

BBCのクリス・メイソン政治担当特派員は、メイ首相が「EU離脱は実際に何を意味するか」という質問へのさまざまな答えを、閣僚らや議会から聞くことになると指摘した。

超党派の政治家らは28日に「オープン・ブリテン」と称するグループを発足させた。同グループは、与党・保守党と野党の労働党、自由民主党の元閣僚3人の連名で、サンデー・タイムズに寄稿し、人の移動の自由は続かないと受け入れた上で、「吊り橋を上げる」べきではないと主張した。

ガブリエル副首相は28日の記者会見で、EUと米国の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)協定に向けた交渉が、「実質的に決裂した」と述べた。

EU~米国間の貿易と投資の障壁を低くしたり取り除いたりすることを目指すTTIPについては、英国やドイツを含め多くの国で激しい議論が続けられてきた。批判勢力は、協定が大企業を優遇し、雇用や消費者や環境にとって不利益になると主張している。

ガブリエル副首相は、14回もの協議を経ても、27分野のうち合意できたものはひとつもなかったと明らかにし、「だれも認めようとしないが、私の見方では、米国との交渉は決裂した」と語った。

副首相は、EUとカナダの協定には、米国がTTIPに受け入れたくない内容があったため、米国は腹を立てたのだという見方を示した。

ガブリエル氏は、「米国の提案に従うべきではない」と述べた。同氏は、メルケル首相率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)と連立を組む、中道左派の社会民主党(SPD)の党首。

BBCのアンドリュー・ウォーカー記者は、交渉決裂を決めるのはガブリエル氏ではないとしつつも、同氏の意見は重要で、TTIPがいかに政治的な難点を抱えているのかを示していると語った。

ガブリエル副首相はまた、今月にドイツ北部で抗議する右翼関係者に向かって中指を立てたことについて、弁明を求められた。

ガブリエル氏は、むしろ両手で中指を立てなかったのが残念だと述べた。批判については、もし12人の「若くて攻撃的で、口汚くてけんかする気満々のナチス」を前に、自分たちならどうしていたか考えてみるといいと反論した。

(英語記事 Brexit may send EU 'down the drain' - German vice chancellor

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37211664

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