BBC News

2016年8月31日

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欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会が30日に、米アップルに対する130億ユーロ(約1兆4930億円)の追徴課税をアイルランド政府に求めたことを受け、米国内で反発する声が相次いだ。

米財務省は、欧州委がこのような税調査を行うのは「不公平」で、個別の国の税制を弱体化させると批判。民主党の有力議員、チャールズ・シューマー上院議員(ニューヨーク州選出)は、「けちな方法で金を奪いに来ている」と語った。

ホワイトハウスは、欧州委決定が米国の納税者に不利益になると指摘。ジョシュ・アーネスト報道官は、アップルが追徴金を払えばその額は米国での税控除対象となり、納税者にとって不公平になると述べた。

違法な補助金

これに先立ち、欧州委員会はアイルランド政府がアップル子会社に他社と比べて大幅に有利な税優遇を与え、実質的な法人税率を1%以下に引き下げたと指摘した。

マルグレーテ・ベステアー欧州委員(競争担当)は、「加盟国は任意の企業を税で優遇できない。これはEUの補助金法で禁じられている」と述べた。

アイルランド政府とアップルは、過去最大の額となる追徴課税の判断に反論し、裁判で争う考えを表明した。

アイルランドでは法人税率は通常12.5%だが、欧州委調査によると、アップルが2003年に欧州で上げた利益について払った実質税率は1%。2014年には0.005%だったという。

ベステアー欧州委員は、アイルランドとアップルとの間で結ばれた税合意で、アップルの課税利益が「経済的現実にそぐわない」ものになったと語った。

「税収の強奪」

米財務省は、「欧州委員会の追徴課税の評価は不公平で、広く受け入れられた法の原則に反しており、加盟各国の個別の税制に疑問を投げかける」と述べた。

財務省は先週、欧州委員会が「超国家税当局」になる危険性があると警告していた。

シューマー上院議員は「これは欧州委員会による、米企業と米国の税基盤を標的にした、けちな金銭強奪だ」とし、「米企業への追徴課税を加盟国に強要することで、EUは、欧州における我々の経済的な競争能力を弱めると同時に、米国で投資に使われるべき税収を強奪している」と批判した。

「深刻な」影響

アップルは、「欧州委員会は、アップルの欧州での歴史を書き換え、アイルランドの税法を無視し、国際税制を覆す作業に着手した」と述べた。

同社はさらに、「欧州委の主張は、アップルの納税額ではなく、どの政府が徴税するのかを問題にしている。欧州の投資と雇用創出に深刻な影響を及ぼす」と指摘。「アップルは事業を行うすべての場所で、法律に従い、税をすべて納めている。我々は裁判で争う。判断は覆されると確信している」と述べた。

アイルランド政府もアップルと同様の考えを示した。

同国のマイケル・ヌーナン財務相は、「欧州委には全く同意できない」とし、「判断が下った以上、裁判で争うことへの承認を閣議で求める。これは、我々の税制の一貫性を守り、企業に税の安定性を提供し、EUの補助金法が加盟国の徴税能力を脅かすのに抗うため必要だ」と語った。

しかし、追徴課税の支払いがアップルにとって問題になる可能性は低い。同社の2015年度純利益は530億ドル(約5.5兆円)に上った。

EU内の税優遇をめぐる問題では、アップル以外にも複数の企業が標的にされている。

欧州委員会は昨年、オランダに対し米スターバックスに3000万ユーロの追徴金を科すよう求めた。ルクセンブルクも欧米自動車大手フィアットに同様の額を追徴するよう求められた。

(英語記事 Europe's 'unfair' Apple tax ruling sparks US anger

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37227658

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