ドローン・ジャーナリズム

2016年9月7日

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木村正人 (きむら・まさと)

ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト。元産経新聞ロンドン支局長。米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員、慶應義塾大学法科大学院非常勤講師などを歴任。2012年独立。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)

 ドイツの国際輸送物流会社DHLは13年にボンでプロペラ4基のドローン「パーセルコプター1・0」を手動運転して川を渡る実験に着手した。翌14年には自動運転ドローン「パーセルコプター2・0」に薬品や緊急物資を積んで北海の島に搬送。そして、プロペラ2基をつけた飛行機型の自動運転ドローン「パーセルコプター3・0」(最大積載量2キログラム、航続距離8・3キロメートル)を開発。オーストリア国境沿いのアルプス山脈にある人口7200人余りの小さな村で今年1月から3月にかけ、試験運用を実施した。

DHLのパーセルコプター3.0(写真・DHL)

 「スカイポート」と呼ばれる離発着施設で村人がパスワードで窓口を開け、荷物を入れると自動的に積み込まれる。次に屋根が開いてパーセルコプター3・0が離陸し、主翼の傾きを変えながら海抜8000メートルの上空を飛行、1・2キロメートルの距離を8分で移動する。冬に車で運ぶと30分かかる。荷下ろしまで全自動だ。

 ジャーゲン・ガーズ担当役員は「DHLは世界で初めて一般客向けに運送用ドローンを提供します」と胸を張る。広報担当のドゥンニャ・クールマンさんは「雪や氷点下の中でも無事、飛行できました。谷や山など異なる高度や複雑な地形のルートを飛行するというのも挑戦でした。スタッフがモニターで飛行可能な天候かチェックしました」という。現在は、収集したデータを分析中だ。都市部でも試験運用したい考えだが、「当局が民間ドローン利用について権利や規制を判断する必要に迫られている」とクールマンさんは指摘する。

 孤立した村が数多く点在するスイスでも同じような試みが昨年7月から始まっている。スイス国営郵便事業会社スイスポストはプロペラ4基のドローンを使って小荷物配達の試験を開始。広範囲でドローンを活用した小荷物配達が実現するにはまだ4年かかる見通しだ。スイス南部のシオンでは今年6月から来年10月までの予定で、公共の道路で自動運転のシャトルバス「ポストバス」の試験運転も始まった。まだ、安全を確認する運転士が乗務し、集中管理室からも遠隔操作でバスを緊急停止できる。

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