足立倫行のプレミアムエッセイ

2016年9月4日

»著者プロフィール
閉じる

足立倫行 (あだち・のりゆき)

ノンフィクションライター

早大政経学部中退後、週刊誌記者などを経てノンフィクション作家に。近著に『血脈の日本古代史』(ベスト新書)『倭人伝、古事記の正体』(朝日新書)。

 夏休みの某日、孫のAを連れて都立庭園の浜離宮(恩賜庭園)を訪れた。

 前回浜離宮に来たのは二十数年前、すでに亡くなった義母の東京見物の時だった。

 その時は、上京した義母が「銀座と浅草を見たい」と言うので、銀座から浜離宮に移動し、浜離宮の一角にある水上バス乗り場から遊覧船で隅田川を北上、浅草で降りて浅草寺や六区の界隈を歩くコースを選択したところ、義母が大変喜んでくれた。

ちょっとしたポカ

タイワンガザミ

 そのことが記憶の隅にあったので、今回、中1になって上京したAの希望が「築地(市場)見物」と知って、すぐに築地・浜離宮・水上バス・浅草の半日コースを思いついたのである(一緒に来た小2の妹は、「絶対ディズニーランド!」なので、そちらはホテル泊ともども妻に任せ、別行動とした)。

 しかし、連日の暑さのせいか(年齢のせいか?)ちょっとポカをやってしまった。

 私も長い間築地市場には足を踏み入れていない。様変わりへの対応と教育的配慮から、今回はガイド・ツアー(昼食付き)を選んだのだが、日にちを1日間違えたのだ。

 「足立様、明日のご予約ですよね?」

 カウンターの女性に言われ、一瞬狼狽した。けれども、そこは年の功、当然の如くこの日のツアーへの変更を申し入れ(幸運にも了承され)、孫の手前、面目を保った。

 かくして静岡からやってきた30代(?)のカップルと一緒に、東京都中央卸売市場の青果売場と水産物売場、そして場外市場を中年の女性ガイドの案内で回ったのである。

 ガイド・ツアーは正解だった。築地市場は今年11月7日に豊洲市場(江東区)に移転する予定になっているが、隣接する商店街である場外市場(約400店)は、移転せず営業を続けることなど、さまざまな情報を教えてくれた。狭い通路の各所で聞いて、耳に残ったのは、例えば次のような事柄だ。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る