WEDGE REPORT

2016年9月12日

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 米ロ主導で12日日没(現地時間)からシリアの停戦が発効する。停戦が維持されるのかどうかは予断を許さないが、今回の合意の影でシリアの国土分断の固定化が一段と進む懸念がある上、トルコとロシアがクルド人封じ込めなどをめぐって裏取引したとの観測が浮上している。

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不可解な合意のタイミング

 停戦をめぐる米ロの交渉は7月から始まり、ケリー国務長官が訪ロして米国の提案についてプーチン大統領と会談。今月G20が行われた杭州では、プーチン大統領がオバマ米大統領と首脳会談、その後ジュネーブに舞台を移して、ケリー国務長官とラブロフ・ロシア外相による集中協議が行われてきた。

 両外相は9日から10日未明まで14時間のマラソン協議を続け、やっと合意をまとめた。この間、ロシア側が9日夜には、交渉を取材する記者団にピザとウオッカを差し入れするなど余裕の対応ぶりを示し、ちょっとした話題にもなった。

 合意の骨子は、12日日没から全土で停戦に入り、停戦が1週間続いた後、激戦地の北部アレッポなどの包囲地区住民へ食料、水、医薬品などを搬入する人道支援を開始。米ロがテロ情報の共有と、過激派組織「シリア征服戦線」(旧ヌスラ戦線)や「イスラム国」(IS)攻撃のための「合同履行センター」を設置する。

 ロシアがシリア政府軍に反体制派地区を空爆させない代わりに、米国はアレッポ周辺などで「シリア征服戦線」から反体制派が離れるよう説得し、米ロが過激派のみを攻撃の対象にできるようにする方針。しかし、ラブロフ外相自身、「合意の実現は100%保証できない」と不安を口にしているように、シリア政府軍や内戦の当事者が米ロの設定したプロセスに従うかどうかは不明だ。

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