WEDGE REPORT

2016年9月12日

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 特にこれまで反体制派とともに政府軍勢力と戦闘してきた「シリア征服戦線」は反体制派から引き離されないように動くと見られ、反体制派の領域から攻撃を仕掛け、停戦を崩壊させようとする可能性が強い。これに政府軍が空爆などで対応すれば、停戦があっという間に崩壊する危険性すらある。

 それにしても今回の合意のタイミングは不可解だった。激戦の続くアレッポは8月、政府軍勢力がいったんは反体制派地区を完全に包囲したものの、その後南西部で「シリア征服戦線」が政府軍側を撃退し、包囲網が崩れた。

 これに対してロシア軍、シリア政府軍が猛爆を加え、9月9日に再び政府軍側が完全包囲に成功、この直後に停戦合意が発表された。反体制派の一部は「明らかに完全包囲を待った上での発表だ」と批判。その狙いについて、“アレッポの包囲は国際的な承認を得たもの”というメッセージを発することにあった、と指摘している。

トルコ、緩衝地帯設置に布石

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 停戦前になんとしてもアレッポの完全包囲を達成したかったのか、ロシア軍とシリア政府軍のこのところの空爆は激烈を極め、10日にはアレッポなどでの攻撃で少なくとも85人以上が死亡した。8月1ヶ月間だけで、病院が13回も空爆を受けた。

 このアレッポの激戦を尻目に8月24日にシリアに侵攻したトルコ軍は安全保障上の脅威と見なすクルド人の勢力拡大を阻止することに全力を挙げ、クルド人をシリア北東部に封じ込めようと図っている。西方への進撃をトルコ軍に食い止められたクルド人は3月に宣言した“連邦自治国家”の憲法作成を急ぎ、あくまでも分離・独立を目指す構えだ。

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