世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年9月16日

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 ウォールストリート・ジャーナル紙が、イランの基地を使用したロシアによる空爆に見られるように、両国は戦略的関係を強化し、協力してアサドを支援しているにもかかわらず、オバマ政権は手をこまぬいているという趣旨の社説を8月17日付で掲載しています。要旨、次の通り。

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血生臭い状態は続く

 8月16、17の両日、ロシアの空軍機がアレッポ、その他の地域の反体制派を空爆した。それだけでは新しいことはないが、クレムリンは爆撃機がイラン西部の空軍基地を使用したことを明らかにした。これはモスクワとテヘランが戦略的関係を強めつつあることを示すものであり、昨年のロシアによる地対空ミサイルの売却の決定に続くものである。

 この空爆の直接的な動機はアレッポにおける最近の反体制派の攻勢に対する報復である。これに先立つ数週間、プーチンとアサドはアレッポ東部で30万人を包囲し、ロシアが一般市民を空爆する一方、反体制派の支配地域への供給ルートを遮断していた。しかし、今月始め、アルカイダ系を含む反体制派の連合部隊がシリアとロシアによる封鎖を突破して一般市民への供給ルートを再開させた。

 反体制派の進撃はアサドの軍の弱点を示している。それは士気の低い2万程度の戦闘部隊であり、ロシアの航空支援およびイランとヒズボラによる地上での支援にもかかわらずアレッポを奪回し得ていない。

 アサドはシリア全土を奪還すると言っている。反体制派も同じ目標を掲げる。西側が飛行禁止区域を設定し、アサドの軍用機の飛行を禁止することによって勢力のバランスを変えるようなことでもない限り、血生臭い膠着状態は続くことになる。内戦も続く。

 こういう状況はロシアとイランには好都合であろう。彼等はアレッポの市民の苦境に涙するわけではない。その間、この地域での影響力の拡大を図る。こういうことがどうして米国や西側の利益になるかは次の大統領が考えるべき問題である。

出典:‘Russia’s Growing Military Ties With Iran’(Wall Street Journal, August 17, 2016)
http://www.wsj.com/articles/russias-growing-military-ties-with-iran-1471475536

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