WEDGE REPORT

2016年9月20日

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背後関係が焦点

 今後の焦点は過激派組織「イスラム国」(IS)から指示を受けるなどの背後関係があったのかどうかだ。専門家は組織的な犯行ではなく、自ら過激化した末の“一匹オオカミ”テロの可能性が強いと見る向きが多い。また米メディアによると、父親のレストランは営業時間をめぐって市とトラブルを抱えていたとされており、事件との関連性が取り沙汰されている。

 事件に使われた“圧力なべ爆弾”は2013年のボストン・マラソン爆破事件に使われたのと同種の爆弾。国際テロ組織アルカイダのイエメンの分派「アラビア半島のアルカイダ」の英字機関誌インスパイアが「裏庭でテロを起こそう」という呼びかけの下に製造方法を図解入りで紹介、ボストン・マラソンの犯人兄弟がこれを参考にして爆弾を製造した。

 一方、中西部のミネソタ州セントクラウドのショッピング・モールでは17日、警備員の服装をした男が買い物客を次々と突き刺し、9人が負傷する事件が発生した。男は居合わせた非番の警官に射殺されたが、犯行中にイスラム教のアッラー(神)に言及し、被害者の1人にイスラム教徒かどうか尋ねていた。

 この事件に対し、IS系のアマク通信は18日、「ISの兵士が実行した」との犯行声明を出した。声明によると、犯行は十字軍の市民を攻撃せよ、というISの呼び掛けに応えたもの、としている。男がアッラーに言及していた事実に食いつき、ちゃっかりISの手柄にした可能性もある。

 捜査当局はミネソタの事件と一連の爆弾事件との関連についても調べている。テロについては最近も、シリアやイラク、パキスタンなどのイスラム圏でIS絡みの大規模な爆弾テロが続発。パリでは9月、ノートルダム寺院の近くで爆弾テロを起こそうとした女テロリスト集団が摘発され、ドイツでも難民を装って入国したISのテロリスト3人が捕まったばかりだ。

 米治安当局は米同時多発テロ9・11の15周年にテロが起きる懸念があるとして厳戒態勢を敷いたが、テロは発生せず、ホット一息ついたところだった。しかし、今回の一連の事件はテロの脅威が常に存在することをあらためて示したもので、当局への強い警鐘になった。

  
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