金融万事 塞翁が馬

2016年9月23日

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渡邊竜士 (わたなべ りゅうし)

トムソン・ロイター・マーケッツ株式会社 執行役員

トムソン・ロイター・マーケッツ株式会社 執行役員。1972年東京生まれ、米国育ち。 慶應義塾大学 総合政策学部卒業、野村證券株式会社入社。国内外の機関投資家向け営業を経て、マネージング・ディレクター就任。セールストレーディングやヘッジファンド向けビジネスの責任者に。香港でアジア戦略に携わった後、2014年1月退社。2014年6月トムソン・ロイター入社。

ロボアドバイザーが日本の金融リテラシーを向上するかもしれない

 フィナンシャル・プランナーに資産形成の計画を依頼し、個人向け投資顧問業者(RIA:Registered Investment Advisor)に資産運用を一任する欧米に比べ、日本のウェルスマネジメントの歴史はまだ浅い。1706兆円もの家計金融資産の5割以上は現金・預貯金にあり、これを投資へと促す重要性について敢えて説明する必要はないだろう。

 ロボアドバイザーはポートフォリオ理論の専門家の戦略を活用、低コストで、中立性の高い投資対象を使い、長期資産形成を体験するには格好のサービスだ。自動運用の為、結果として長期投資(放っておく良さ)や分散投資の効果を経験し、金融リテラシーを向上、延いては “貯蓄から投資へ” と期待ができるかもしれない。

 ただ、注意すべき点がある。A地点からB地点へ自動運転の車で向かう場合、アクセルだけ、またはハンドルだけ自分が介入すると事故に繋がり易い。または、途中で部分的に自動運転を止めた場合、目的地に着く時間や燃費は大きく変わってしまう。

 多くの金融機関が新たに展開し始めたポートフォリオ提案サービス(自動運用ではないもの)では、ユーザーの決断(実際の投資行動)は必ずしもロボ(アルゴリズム)による提案内容と一致しない。その場合、残念ながら先述のような成功体験には繋がりにくいのだ。ポートフォリオ理論による推奨は、特定の期間やリスク分散の前提に基づいており、異なる期間や部分的な投資で本来の効果は期待できない。この点をしっかりと理解した上でサービスを利用する必要がある。

 それはさておき、投資初心者が参考にできるサービスの拡充であり、IFA(独立系フィナンシャル・アドバイザー)や金融機関の窓口担当者が顧客の相談に乗る際のツールとしても重宝される。今後の展開に期待したい。

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