オトナの教養 週末の一冊

2016年9月30日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

 大学入試や就職活動ほど世代によって状況が異なるライフイベントはない。特に就職活動は、経済の好況や不況によって大きく変わり、世代を構成する人数によっても変わる。四半世紀以上も昔の筆者(中村)の就職活動は、当時はそれなりに必死だったつもりだが、今と比べると極めて牧歌的なものに思える。オンラインのエントリーなどなく、提出や登録の書類はすべて手書きだったし、携帯やメールなどもなく、連絡はすべて固定電話だった。それを考えると今の学生はエントリーシートなど電子的な手続きが多くて大変なのだろうなと想像する。

 企業が新卒学生をとるためにコストと時間をかけるという点は昔と変わらないが、将来の企業を担う人材をどう確保しなければならないかというのは、時代の先の先を読まなくてはならず、それも以前とは質的に大きく変わってきているのだろう。

 本書はそうした現代の採用の最前線がどうなっているのかを論理とデータにもとづいて分析した。

ガラパゴス化する日本の採用

『採用学』
(服部泰宏、新潮社)

 そもそも採用とは何か、という問いから説き起こす。

 〈企業の目標および経営戦略実現のため〉であるとともに、〈組織や職場を活性化させるため〉であるが、その中で「良い採用」については〈高い仕事の成果をあげる人材を採用することと高い満足度を得て中長期的に企業にとどまること〉という点についても指摘する。その上で日本の採用が「ガラパゴス化」しているとみる。

 〈同じような採用基準により、同じような「優秀さ」をめぐるきわめて同質化した競争になっている〉という指摘は頷ける部分も多い。

 候補者獲得の過程で優秀な人もそうでない人も多くの人材を確保しようと企業はヒートアップし、求職者の側も加熱するという指摘もよく理解できる。そしてその後採用を絞り込む過程で企業は様々なコストをかけているのである。

 画一的な採用方針で果たしていい人材がとれるのか。苦労して採用した人材をどういかすのか。企業哲学や経営方針に密接にかかわってくる問題である。

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