2024年4月26日(金)

佐藤悦子 バランス・マネジメント

2010年2月23日

 けれどもその日は、ハタとこんな思いがよぎりました。

服装はビジネスの効率を上げる大切なアイテムであり気分転換のひとつ

 「平日のこんな昼間に、子どももいない状態で、たった一人で銀座の真ん中にいる! そんなことはめったにない。そして、今はちょうど春の服も店頭に並び始めたばかり。これはもう絶好のチャンスで買い物するしかない!!」

 と、ショッピングに走ることに決めたのです。試着をしたり、お支払いをしたりして、気がつけば1時間半が過ぎていました。その間は、ひたすら洋服を選ぶことに真剣に集中していました。「ああ、どうしよう、本当は仕事しなきゃいけないんだけど・・・。あれもこれもやっていない・・・。こんな風に買い物をしている場合ではないんじゃないか?」などという後悔は全くありません。

 買い物が終わったあとは、真剣に洋服を選ぶことに没頭できた分、とても爽快でハッピーです。ショッピング欲や、ファッション欲、誰にも邪魔されずひとりでゆっくりとしたいといった欲求が一気に満たされて、すっかり気分が上々で、ノーストレス状態になっていました。

 その後オフィスに戻って仕事ができたのは、実質的に1時間程度になりましたが、その日はそれでいいのです。もちろん1時間半を買い物に費やした事実はわかっているわけですから、遅れた分を「巻き返そう」という気力が働いて、普段以上に集中して仕事の効率も上がります。

 結局、すべての仕事を終わらせ切ることはできませんでしたが、遅れた1時間半分の仕事については、夜あるいは朝に、いつもより少し多く仕事をすることで、その週のうちに取り戻すことができればいいと考えました。実際、よい精神状態を維持できていれば、挽回もスムースだと思います。

 ここで大事なことは、いい意味で「自分ハッピー主義」を全うすることができるかどうかではないでしょうか。それによって生じたことのフォローも、精神が安定した状態であればいくらでもできますし、ストレスフルな状況で取り組むよりもかえってよい結果を引き出すことができるようにも、経験的に思います。

決めたことに集中する!

 それにもう一つ大切なことは、「ああ、やっぱり本当はあんなことをしなければよかった」などと、せっかく自分で決めて選んだ過去の行動や出来事をあとから後悔したり否定したりしないことだと思います。

 たとえば子どもに対しても「子どものお迎えのせいで、仕事が全然できないー!」という風には思わないようにしています。口に出して言わなかったとしても、そういうイライラは以心伝心で相手に伝わってしまうのは、子どもといえども同じこと。子どもからしてみれば、仕事をしているのは私の勝手ですので、そんなことで八つ当たりされたら本当にいい迷惑です。私からイライラを受け取った子どもの方もきっと不機嫌になり、今度はまたその不機嫌が私にかえってきて・・・と、何だかとてもよくない循環になってしまうように思うので、子どもに接するときは、全力で子どもと向き合い、「仕事が・・・」という考えは捨てるように心がけています。

選ばなかったことについては考えない

 いつも思うのですが、まず「自分にとって今一番大切なものが何か?」を考えて、その「一番大切」なことを選んだ後、選ばなかったものについては「しょうがない」と振り返らない方がよいのではないでしょうか。

 なぜなら一度に複数のことをすることは物理的に不可能だからです。とすると、選んだ「一番大切」なものを文字通り「大切」にすることが最上策であり、自分の意思で捨てたものについていつまでもグズグズと考え続けながら、せっかくの「一番大切」なことに携わるのは、時間やエネルギーの無駄遣いになってしまいます。それはとてももったいないことだと思ってしまうのです。


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