2024年4月19日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年10月23日

 当初イタリア政府は公海上の事案であるとしてイタリア国内での裁判を主張。他方インド政府は事件がインド経済水域で発生したとしてインド国内法による裁判を主張。イタリア政府も後にインド経済水域内での事件であることを確認して、インドの裁判管轄権を認めたが、外交ルートで商船関係者の早期釈放・帰国を求めているという。

 注)2015年夏の時点では上記のとおりであるが、その後両国の交渉が妥結して2016年8月に商船関係者が釈放されて帰国。(外信記事)

炎天下の巡礼道では木陰は最高のご馳走

EUは国益が衝突する利害関係調整機関

 2016年7月の英国国民投票によるEU離脱のニュースはEUの脆弱性を世界中の人々に喚起したが、そのちょうど一年前にフランチェスカはEU内部における主導権争いの激しさや利害調整の複雑さを強調していた。ドイツ・フランスの発言権・影響力に対抗してイタリアの国益を政策に反映することは「小国イタリア」にとり至難であると。

 「フランスがEUで最大の農業保護支援金の受取国だけど、イタリアの伝統的農業、特に南イタリアの果実やワインなどを守るためにはフランスに対抗してもっと支援金分配枠を増やす必要があるわ」とのこと。「でもイタリア経済はドイツやフランスに比べて脆弱だし政治も伝統的に不安定なのも困った問題です。どうしても大衆扇動的な人気取り政治家(populist)が権力を握るわけ。ベルルスコリーにみたいに。」と嘆息する。

フランチェスカにとり極東問題とは

 彼女にとっては中国、北朝鮮などのアジア情勢は馴染みが薄く南シナ海や東シナ海を巡る中国の進出や北朝鮮の核開発についての私のコメントを求めてくる。私は伝統的に中国が統一国家を形成すると周辺諸国を侵略して大帝国を建設するという歴史的法則を忠実に再現することが共産党のテーゼとなっていることを説明した。また北朝鮮は独裁的王朝政権という異形の体制維持が至高の国家命題になっていることを大韓航空機爆破事件、外国人拉致問題を例示しながら解説。

 国際法というのは17世紀以来欧米各国が積み上げてきた体系であるからフランチェスカにとり中国、北朝鮮の行動原理は理解し難く国際法そのものへの挑戦と映るようだった。


新着記事

»もっと見る