易経に学ぶリーダーシップ

2016年10月15日

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古藤友子 (ことう・ともこ)

易占研究会代表

東京大学大学院人文科学研究科博士課程中国哲学専攻単位取得退学。2016年3月末まで、国際基督教大学教授。専攻は中国哲学、東アジア思想史。著書に、『五行大義全釈』上・下巻(明治書院・共著)、『周易本義』(明徳出版社・共著)、『はじめての易占』(青土社)などがある。なお主催している占術研究会は京都に本部を置き、現在、京都大学大学院生や京都大学人文科学研究所教授等を中心に『断易断例卜筮元亀』の読書会を続けており、近く出版の予定である。

 「硯(おお)いなる実(このみ)食(くら)われず。君子は輿(こし)を得(え)、小人は盧(ろ)を剥(は)がる」(剥卦・上九爻辞)

 

「易経」の成り立ち

 今月から、朱子の著した『周易本義』(しゅうえきほんぎ)にあらわれたリーダーシップについて述べていきたいと思います。皆さん、よく「易占い」という言葉を耳にすることがあると思います。易占いとは、中国の『易経』をベースにしたものです。古代中国において『易』という書物がまとめられ、これが発展して紀元前10世紀頃の周の時代に『易経』(『周易』ともいう)となりました。

 『易経』については、多くの学者が注釈書を書いています。私はこれらのなかでも、朱子の著した『周易本義』について研究していますので、この『周易本義』をもとにお話を進めたいと思います。

 朱子は1130年に生まれ、1200年まで南宋の末期を生きた人であり、皆さんよくご存じのように、「聖人学んで至るべし」と士大夫(したいふ)(当時の知識階級)の自立的な倫理の確立を説き、いわゆる朱子学を大成した人物です。

 朱子は、『周易』とは卜筮(ぼくぜい)(筮竹(ぜいちく)を使った占い)の書であると考えていました。

陽と陰から成る八卦

 「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦」ということわざがあります。易の基本は、この八卦(はっか)にあります。「はっけ」と「はっか」、どちらが正しいのかと思われるかもしれませんが、易では「はっか」と呼んでいます。

 ここで、簡単に八卦(か)についてお話しておきましょう。八卦は陽と陰で成りたっています。陽と陰を表す際には、陽を(━)、陰を(➖➖)で示します。また、━や➖➖の一つひとつを爻(こう)と呼びます。卦は、この爻を3つ組み合わせて作られています。これをまとめると下の図のように8つの卦ができます。それぞれの卦には、名前がついています。

 これが、八卦です。余談ですが、韓国の国旗を見ると、このなかの乾、坤、離、坎の4つの卦が描かれていることがわかります。

 さて、易占いでは、八卦を2つ重ねて作られた64の卦を用いて占います。たとえば、剥は坤と艮の卦からできています。

 前置きが長くなりましたが、易の基本が陽と陰を組み合わせた8つの卦からできていることを覚えておくと、これからのお話がわかりやすくなると思います。

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