田部康喜のTV読本

2016年10月5日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 戦後の焼け跡のなかに、主人公の坂東すみれ(芳根京子、よしね・きょうこ)は立ち尽くしている。いずれともに幼児専門の衣料メーカーを設立することになる、3人の女性の仲間も、すみれと同じような姿であり、背に子どもを背負った者もいる。

 そして場面は一転して、彼女たちが立ち上げた「キアリス」の20周年記念の会場に移る。

 若手女優たちに、ドラマのハイライトをコマ落としのように演じさせる。中年の容貌の導入部は意表を突かれる。小野明美役の谷村美月、多田良子役の「ももいろクローバーZ」のリーダーである百田夏菜子、村田君枝役の土村芳である。

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「特別につくった別品」

 主役の芳根は、「表参道高校合唱部!」(TBS、2015年)の主役・香川真琴役によって、ドラマの世界で注目された。それがドラマ・映画の初出演というわけではない。連続テレビ小説「花子とアン」(2014年度上半期)では、仲間由紀恵が演じた葉山蓮子の娘役でも出演している。

 女優の代表作とはそうしたものである。吉永小百合といえばいまも「キューポラのある街」(浦山桐郎監督、1962年)が、代表作のひとつとして思い出されるが、初出演の作ではない。吉永自身が「デビュー作といわれることが多いですが、この作品の前に10本以上も出演しています」と語っている。

 芳根にとって、「べっぴんさん」は代表作となるだろうか。天真爛漫(てんしんらんまん)な明るい少女役はこれまでも、天性のものを感じさせる。「表参道~」では、オーディションで1000人を超える中から選ばれた。スターというものもまた、そういうものである。

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