2024年4月25日(木)

田部康喜のTV読本

2016年10月5日

脇を固める朝ドラ「同窓生」

 主人公の坂東すみれは、神戸で戦後に生まれた「ファミリア」の創業者である、坂野惇子がモデルである。

 冒頭の20周年記念パーティの来賓として挨拶した、幼馴染の野上潔(高良健吾)は次のように語りかける。

 「『人は所を知る』といいますが、人生とは、『みずから生きるべきところはどこか』を探す旅だと思っています」「自分の大切なものは何か、譲れないものは何か――彼女たちは、ただただ、お母さんと赤ちゃんたちを思い、一針一針縫い続けました。そうして、多くの人たちを幸せに導いたのです」

 第1週の第1回目で、全編の主要な登場人物を紹介するとともに、そのテーマもさりげなく織り込んでいる。脚本家の渡辺千穂が描くドラマの今後が期待できる。ドラマでは沢尻エリカ主演で、ファッション界の裏を描いた「ファーストクラス」(2014年、フジテレビ)が印象に残る。

 芳根と同様な連続テレビ小説の「同窓生」たちが脇を固める。高良は「おひさま」(2011年度上半期)に出演した。すみれの伯父方の長男の嫁役で三倉茉奈も登場する。「ふたりっ子」(1996年度下半期)でデビュー、「だんだん」(2008年度下半期)のヒロインである。

 女優が代表作に恵まれるかどうかは、運である。脚本と演出家、監督との出会いである。芳根の強運に期待したい。

  
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