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2016年10月7日

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国連の次期事務総長に、元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏(67)が就任することになった。国連安全保障理事会が6日、全会一致の正式投票でグテーレス氏を選んだ。来週にも国連総会が承認する見通し。国連事務総長の任期は1期5年で最長2期。

2005年から国連難民高等弁務官を10年間務めたグテーレス氏は、リスボンで会見し、「今の気持ちを表す言葉が2つあります。感謝と謙虚です」と述べた。

「謙虚な気持ちとは、私たちが直面する巨大な課題、恐ろしく複雑な現代の世界に対する自分の気持ちです。と同時に、最も弱い立場にある人たち、紛争やテロや権利侵害、貧困、世界の不正義の被害者のために尽くすには、この謙虚な気持ちが必要なのです」

グテーレス氏はさらに、年末に任期を終える潘基文(パンギムン)事務総長(72)の功績を称え、任期満了までその行動や提案を「強力に支える」よう加盟国に呼びかけた。

安保理の現議長を務めるロシアのビタリー・チュルキン国連大使は、グテーレス氏は最適だと称え、「誰とでも話をして、誰の話にも耳を傾け、意見をはっきりと言う、とても外交的な人なので、素晴らしい選択だ。グテーレス氏が良いとみんなで賛成できて嬉しい」と報道陣に述べた。

安保理の公式投票に先立ち、訪問先のローマで報道陣を前にした潘事務総長は、素晴らしい選択だと後任を称えた。「ポルトガル首相としての経験に加え、国際情勢について博識で、生き生きとした知性の持ち主だ。極めて重要な時期の国連を導くにあたって、どれも彼を支えてくれるはずだ」。

国際的指導者の団体「長老」も、グテーレス氏の選出を歓迎した。「長老」は、南アフリカの故ネルソン・マンデラ元大統領を中心に発足した組織で、現在はコフィ・アナン前国連事務総長が代表を務める。

アナン氏は「安保理の選出作業の結果にとても喜んでいる。アントニオ・グテーレスは非常に適任で、今後直面する課題に対応できるだけの経験を積んできている。難問山積のこの時代に、任務を十分に果たすには、安保理をはじめ、国連加盟国の幅広く強力な支持が必要となる」と述べた。


直面する巨大な課題――ジェイムズ・ランズデール、BBC外交担当編集委員

グテーレス氏は確かに有能だが、それでも巨大な挑戦が待ち受けていることには変わりない。

国連はシリアの戦闘縮小に力を発揮できなかった。それだけにグテーレス氏は、国連が今後どうやって国際危機に対応していくのか、新たな方法を見つけなくてはならない。

さらに非効率で無駄が多くなることもある、硬直的な官僚組織を改革しなくてはならない。

次の事務総長はさらに、国家や武装勢力の多くが伝統的な国際社会のルールを無視する今の世界でも、国連という20世紀の組織が有意義な存在でいられるようにしなくてはならない。

国連事務総長は平和維持部隊の兵士10万人を動かすことができる。しかしその本当の影響力は、道徳的な権威によるものだ。だからこそ紛争当事者を非難し、交渉を仲介できるのだ。

大勢の支持や歓迎を追い風に、グテーレス氏は新事務総長として出発する。波が荒くなれば、その支持や応援は不可欠なものになるだろう。

(英語記事 Antonio Guterres: I will serve most vulnerable as UN chief

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37582375

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