オトナの教養 週末の一冊

2016年10月20日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――なるほど。その4枚もSIMカードが入る携帯電話というのは正規品ではないですよね?

小川:中国企業の中には複数のSIMカード挿入口のある正規品も出しています。ただ、もちろんコピー携帯もあります。大抵はタンザニアの商人が売れ筋の携帯電話のサンプルを持って中国に渡航してコピー製品を生産してもらうんです。こうした中国とアフリカなどの間には近年インフォーマルな交易が急速に発展し、タンザニアでは2000年頃から中国へ買い付けに行く商人が急増しています。

――中国のどの辺りでそういった製品は作られているのでしょうか?

小川:深セン市には秋葉原の何倍もの規模の巨大な電化製品のモールがあります。アフリカ人の主たる買い付け先である広州市にはアフリカ人が多く集まることからチョコレート城と呼ばれる場所もあるのです。

 また、浙江省の義烏市には、イオンモールの何倍もの巨大な卸売店街があり、各フロアには、傘や玩具、化粧小物やアクセサリー、文具や日用雑貨など様々な種類の卸売店が立ち並び、アフリカや中近東からの商人だけでなく、日本人も仕入れに訪れています。このビルには各国の言語に対応した通訳をそろえた代理店もあり、彼らと仕入れツアーを組むことで中国語が堪能でなくても交渉したり仕入れたり出来ます。

――アフリカに中国人が多いだけでなく、中国までアフリカの商人が買い付けに行っているんですね。でもコピーの携帯電話が取締の対象になることはないんですか?

小川:
じつは今年2月にタンザニア通信規制局がコピー携帯の通信をシャットダウンすると発表し大騒ぎになりました。タンザニアの人たちも自分たちが使っている携帯電話のなかにコピー製品があることは知っていますから。6月17日にシャットダウンは本当に実行されました。当初マスコミはタンザニア国内の30~40%がコピー製品だと推計し、当日は大混乱に陥って全土でデモが発生するのではないかと報じられていたんです。しかし、ふたを開けてみると、シャットダウンの対象は数%のみでした。

 タンザニア通信規制局が15年に「中央機器識別登録」という新システムを導入したのですが、このシステムは「国際携帯識別番号」(IMEI:International Mobile Equipment Identifier)のデータベースを構築するもので、プロバイダーがIMEIと照合すると、コピーや偽物携帯電話の通信を停止することが出来るのです。

 そのシャットダウンされた携帯電話の一部は、修理業者が回収しました。もちろん、携帯電話に使われているレアメタルをリサイクルするという目的もありますが、分解して後々の修理用のパーツとして保管しておくためです。

――タンザニア政府がコピー製品を急に取締りを始めたのはどうしてなんでしょうか?

小川:報道では中国企業がタンザニア政府に対し取締りを強化するよう迫っているからだといわれています。いまタンザニアでは、中国のブランド携帯が急速に普及しています。ファーウェイやテクノ、アイテルといったタンザニアで人気の中国ブランドは、保証期間を設けたり、無料で修理を行うといったサービスを提供し、かつサムソンなど既存のブランドと比べてリーズナブルな値段で販売しています。

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