使えない上司・使えない部下

2016年10月25日

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吉田典史 (よしだ・のりふみ)

ジャーナリスト・記者・ライター

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。
主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、
震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。

 今回は、賃貸物件の仲介・管理を手がける株式会社NYホーム(愛媛県松山市)の代表取締役・松岡秀夫氏(53歳)を取材した。「中卒」でスタートし、今は社員20人ほどの会社のトップだ。数多くの会社員を見てきた「中卒社長」にとって「使えない部下・使えない上司」とは……。

次の1手があるかないか、そこが「使える部下」「使えない部下」の判断基準

産休・育休中の女性社員の子どもを抱く、松岡秀夫社長

 困難なことにぶつかったとき、それを乗り越えることができない理由を探す人は、困った社員ですね。私たちの賃貸仲介の仕事でも、入居者が決まらないと、猛烈なエネルギーで「できない理由」を見つける社員がいます。

 たとえば、次のようなものです。「あの物件は築年数が古い」「日当たりが西向き」や、「和室中心の間取りだ」「バスとトイレが一緒のユニットバスだから」、さらに「駐車場が、車を止めにくい」……。

 入居が決まらない原因を口にすることは、問題ではありません。たとえば、「この物件は和室中心の間取りだから、入居したい人が少ない」などです。大切なのは、そこから次の1手を考え、大家さんや社長、役員、管理職を説得することができるかどうかです。「こうすると、入居したい人が増えるのではないでしょうか」と代替案を提示してもらいたいのです。

 次の1手があるかないか、そこが「使える部下」「使えない部下」の1つの判断基準だと思います。私たちは評論家や学者などではなく、実務家なのですから、「できないことの分析」をしているようではダメなのです。

 ほとんどの会社員が、「できない理由」を口にする傾向があると思います。多くの物件を管理する大きな会社であれば、空室を埋めることが難しい物件もあるかもしれません。その場合は、代替案にこだわる必要はないのかもしれませんが、当社のような、社員数が20人ほどの会社ではそのような姿勢では困るのです。

 実は、私も会社員の頃、特に若いときに「できない理由」を探していましたが、それでは進歩がないのです。自戒の意味も込めて、今、社員たちにはこう教えています。

 「できない理由を百万言重ねても、意味がない。できない理由の証明でメシが食えるのは、学者と評論家だけ……」

 このようなことを社員に何度も言うことで、思考習慣を変えるための教育としています。そうしないと、会社員は「できない理由」を見つけ、結局は、何もしないようになっていくのです。「思考習慣」を変えるための「反復訓練」は大切です。

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