使えない上司・使えない部下

2016年10月25日

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部下のご機嫌をとる管理職は、部下からも軽く見られている

 今は、会社を経営する身ですから、管理職の育成にも力を入れています。「使えない管理職」の典型は、非管理職と一緒になって、「できない理由」を探す人です。本来、管理職ならば、社長や役員と志や価値観を共有し、部下たちを説得しないといけないのです。

 非管理職が「できない」と言ったら、ご機嫌をとるかのように一緒に「それはできません」と言っているようでは、管理職ではないのです。「できない」と判断したならば、その代替案を考え、役員などに説明し、説得してほしい。それができるならば、「使える管理職」です。

 そもそも、非管理職は経験が浅いこともあり、判断力が十分とはいえないのです。その人たちの言い分をすべて鵜呑みにしているようでは、やはり、困ります。非管理職のご機嫌をとっている管理職は、実は部下からも軽く見られているはずなのですが、そのことに気がついていないのでしょうね。

 部下は、上司のために仕事をしているのではないのです。私もかつては、その立場でしたから、わかるのですが、あくまで、生活のため、自分のためですよ。もちろん、会社のためでも、ないでしょう。社員にとって会社とは、収入を得るための経済活動をする場です。

 たとえば、業績が悪化し、賃金などに悪い影響が出れば、辞めていく人が現れます。私はかつてリストラに直面しましたが、給料がきちんと支給できない会社に残る人はいませんよ。それが、現実なのです。

 以前、とある社長さんから、「経営難になっても、あの部下だけは私とともに会社を支えてくれる」という趣旨のお話しを聞きました。そのように思いたい気持ちはわかりますが、実際に経営難になったら、社員の多くは会社を去っていきます。私はかつての経験から、そう断言できるのです。

 管理職や役員は、勘違いしてはいけないのです。部下がいると、思うままに動かそうとすることがありますが、それは間違いです。部下は、そんな上司たちのことを思い、動いているのではありません。あくまで、生活のためです。そのことを忘れないようにするべきでしょう。

 私も若いころは、自分のことを棚上げし、周りのせいにする「他責」の考え方でした。経験を積んで、上司や書籍などから学んで、今の考え方を身につけてきたのです。今も問題が起こると、できない理由を探すことがあります。しかし、ポジティヴな一歩を踏み出さなければならないと思うから、次の1手を考えているのです。

 上司と部下の関係に悩む人に、明快なメッセージを送ることができる人は少ないでしょう。私も十分にはできませんが、一つ言えることとして管理職には向き不向きがあります。

 できる限りの努力をしたうえで、適性がどうしても見出せない場合は、管理職から専門職に異動することも選択肢の一つです。会社と個々人の目指す方向が違っているのだとすれば、他の会社へ移ることも、止むを得ないのかもしれません。

 私も自省・自戒しています。かつても今も、上司と部下の関係には悩み続けているのです。

  
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