BBC News

2016年10月20日

»著者プロフィール

米大統領選で争う民主党候補のヒラリー・クリントン氏と共和党候補のドナルド・トランプ氏の最後のテレビ討論会が米東部時間19日午後(日本時間20日午前)過ぎ、ネバダ州ラスベガスで行われた。2人は冒頭から、人工中絶や移民政策、ロシアとの関係などについて、互いを激しく非難し合った。

選挙は不正に仕組まれているという主張について司会者に「この国には平和的な権限移譲の伝統があるが」と問われたトランプ氏は、「その時になったら検討する。その時までハラハラさせるよ」と答えた。

またトランプ氏は、クリントン氏が答えている最中に、「なんていやな女だ(Such a nasty woman)」と述べた。

最初の質問は、連邦最高裁による憲法解釈について。クリントン氏は、性的少数者などマイノリティーのために戦う最高裁が必要で、同性結婚や人工中絶の権利を守るべきだと主張した。対してトランプ氏は、ギンズバーグ最高裁判事が自分を侮辱したのは不適切だったと言及。武器保有権を保障する憲法修正第2条を守っていく必要があると強調し、最高裁は「建国の父」たちが想定した通りの憲法解釈に従うべきだと述べた。

最高裁による憲法解釈をめぐり、続いて人工中絶の問題に移った。女性が中絶を選ぶ権利を認めた最高裁判例について、トランプ氏はこれを覆す判事を最高裁に送り込み、州ごとに判断させると答え、自分は妊娠末期の中絶に強く反対だがクリントン氏はそれに賛成していると述べた。一方でクリントン氏は、「まったく違う」とこれに反論。自分は、女性が自分の体について自分で選択できる権利を支持すると強調した。

移民問題については、トランプ氏は「強い国境が必要だ。かなりたちの悪いhombresがいるから、追い出す」と、スペイン語で「men」を意味する単語を使用。「(クリントン氏は)国境を開こうとしている」と述べた。これに対してクリントン氏は「国境を開放などしない」、自分は国境強化に賛成で移民対策は改革する方針だが、「ドナルド・トランプは不法移民を雇ってきた」と反論した。

これを受けて司会者は告発サイト「ウィキリークス」が公表したメールを引用し、「半球間の自由貿易と開かれた国境を支持すると表明していたのでは?」とクリントン氏に質問。トランプ氏は「ありがとう」と反応した。クリントン氏は「それはエネルギー政策の話でした」と説明した後、ウィキリークスのメール公表については「ロシアによる選挙介入」だと批判した。対してトランプ氏は、「自分はプーチンを知らないが、自分をほめてくれた。ロシアやプーチンと仲良くできたらその方がいい。プーチンは彼女もオバマもまったく尊敬していない」と述べ、これにクリントン氏は「ロシアは米国にサイバー攻撃をしている」と批判。「(トランプ氏は)ロシアに、対米スパイ工作をするよう促してきた」と非難した。

さらにクリントン氏が、トランプ氏がロシアに好かれているのは「操り人形が大統領の方がロシアには好都合だから」と皮肉を飛ばすと、トランプ氏は「操り人形はあんただ、あんただよ」と反論した。

トランプ氏はさらに、ドイツ、日本、韓国の国防費負担が不十分だと発言。またビル・クリントン元大統領が締結した北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉し、北大西洋条約機構(NATO)も再交渉して加盟国の負担を増やすと述べた。トランプ氏はさらに、過激派勢力「イスラム国」(IS)が台頭したのはオバマ政権とクリントン氏のせいだと持論を繰り返した。

複数の女性が過去にトランプ氏に性的暴行を受けたと名乗り出ていることについて問われると、トランプ氏は「ぜんぶ嘘だと証明されている」と答えた。これについてクリントン氏は、トランプ氏は「女性を貶めることで自分は大きくなったと感じる」のだと批判し、さらにトランプ氏は女性だけでなく様々な人を侮辱してきたと批判を重ねた。

大統領として必要な経験について、トランプ氏はクリントン氏は「30年分の悪い経験」を積み上げてきたし、そのせいで過激主義勢力「イスラム国」などが台頭したと持論を展開。クリントン氏は、自分が国務長官としてホワイトハウスの作戦司令室でオサマ・ビンラディン容疑者確保に協力していた時、トランプ氏はリアリティー番組「セレブリティ・アプレンティス」の司会をしていたと述べた。

トランプ氏が選挙結果は「仕組まれている」と発言していることについて司会者が「この国には平和的な権限移譲という伝統があるが、あなたはどうするつもりか」「選挙結果を絶対に受け入れると今ここで約束するか」と尋ねると、トランプ氏は「その時になったら検討する。その時までハラハラさせるよ」と答えた。これにクリントン氏は「それは恐ろしいことです」と反応した。

候補たちは討論会の冒頭でも終了時にも、互いに握手しなかった。

会場はネバダ大学で、司会はフォックス・ニュースのニュースキャスター、クリス・ウォラス氏。

各種世論調査によると、トランプ氏はわいせつ発言ビデオの浮上と、過去に性的暴行を受けたと女性が相次ぎ名乗り出ていることなどから、主要激戦州で支持を失いつつある。

一方でクリントン氏は、国務長官時代のメール問題で国務省が連邦捜査局(FBI)に取り引きを持ちかけたなど報道されているほか、告発サイト「ウィキリークス」が選対関係者の漏洩メールを相次ぎ公表。一部の有権者の間での根強い不人気も続いている。

投票日は11月8日で、大半の有権者はこの日に投票する。

トランプ氏はこのところ、大統領選の選挙そのものが「仕組まれている」、「大規模な不正投票」が行われているなどと主張。これに対してオバマ大統領は、「泣き言は止めるべき」と痛烈に非難した。

トランプ氏は、オバマ大統領の異母兄マリク・オバマ氏を、討論会に招待した。マリク・オバマ氏はトランプ氏支持を表明している。

トランプ氏さらに、クリントン氏が国務長官時代に起きたリビア・ベンガジの米領事館襲撃事件で息子を失ったパトリシア・スミスさんを討論会に招いた。

クリントン氏は討論会に、トランプ氏批判を続けてきた大富豪マーク・キューバン氏や、共和党支持者でヒューレット・パッカードCEOのメグ・ウイットマン氏らを招いた。

<クリントン氏とトランプ氏の最新支持率。BBCが示す両候補の支持率は直近5種類の全米調査の中央値>

(英語記事 US election 2016: Clinton and Trump face final debate

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37711607

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る