WEDGE REPORT

2016年11月1日

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宮田拓弥 (みやた・たくや)

Scrum Venturesゼネラルパートナー

日米両方で起業し、それぞれGoogle、mixiに買収された経験をもつ。mixiのアライアンス担当役員を経て、2013年にシリコンバレーでScrum Venturesを創業。
 

誤差が生じ始めたGoogleの戦略

 早い段階から投資家としてUberの成長を支えてきたGoogleであるが、今年8月、Uberの社外取締役を務めていたGoogleの幹部が同職を辞任した。これまで両社は、Google MapsとUberが連携するなど良好な関係を続けてきたが、最近になって自動運転分野での競合が激しくなってきたため、今回の辞任につながったと言われている。

 それと前後するように、Googleは「Uberの競合」となるサービスを開始している。つい先日、Google傘下のナビゲーションアプリWazeに、「Carpool機能」が追加された。これによりWazeを使っているドライバーは、自分と同じ方向に向かっている人を乗せて、お金を稼ぐことができるようになった。現在は人を乗せることができるのは1日あたり2回までと制限されているが、将来的にはUberと本格的に競合する可能性が高い。

 このタイミングでなぜGoogleはUberと競合するサービスを出してきたのか?

 筆者は、ライドシェアリングサービスが、自動運転車の初期の普及に大きな役割を果たすからだと考えている。技術開発が順調に進み、数年後にレベル4の自動運転車が発売されたとしても、すぐに買う消費者は多くないかもしれない。一方、ライドシェアには、自動運転車を「すぐにでも導入したい理由」が存在する。いくつかの問題に直面しているからだ。

 1つが「ドライバー不足」だ。利用者が急増し、早朝や夕方などの通勤時間帯などには、車の供給が足りずに、利用料が高騰する状況が慢性化している。米国でUberは、ドライバー獲得のために、金融機関のVISAやCapital One、百貨店のSearsなどと提携して、新規にドライバーとして登録した場合、1000ドル(約10万円)のサインアップボーナスを提供するなど必死に取り組んでいる。

 もう1つがドライバーに支払う「コスト」の問題だ。ライドシェアは、利用者から利用料を徴収し、ドライバーに報酬を支払うというビジネスモデルだ。大型の資金調達を続けてここまで来たUberであるが、クルマが自動運転化され、ドライバーへ支払う報酬がゼロになれば、収支が劇的に改善され、黒字化が一気に近づくことになる。

 「運営上」もライドシェアは自動運転に向いている。一般向けにレベル4の自動運転車を販売することを想定すると、仮に不測の事態が起こったとしても、乗っている人も販売したメーカーもすぐに対処する手段が存在しない。

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