BBC News

2016年10月31日

イタリア中部ノルチャ付近で30日午前7時40分(日本時間午後3時40分)ごろ、マグニチュード(M)6.6の強い地震が発生した。8月のM6.2の地震以来、同地域は4回にわたり強い揺れに襲われている。

30日の揺れで今のところ死者の報告はないが、複数の建物が倒壊し、約20人が負傷したという。中世に建立されたノルチャの聖ベネデット大聖堂も崩壊した。

イタリア防災庁のファブリツィオ・クルチオ長官は、多くの歴史的建造物に大きな被害が出たものの、死者は報告されていないと発表。

「約20人が負傷した。人的被害という意味では、前向きな状況だが、歴史的地域では多くの建物が深刻な状態で、電気や水の供給に問題がある」と長官は説明した。

米地質調査所(USGS)によると、震源地はウンブリア州の州都ペルージアから南東68キロで、聖ベネデットの生誕地とされるノルチャ町の近く。

揺れは首都ローマや北部ベネツィアでも体感された。ローマでは地下鉄が一時運行を停止した。

26日夜にM5.5とM6.1の揺れが相次いだため、多くの住民は危険な建物から避難していたことが、今回の揺れから多くの命を救った可能性がある。

ノルチャのピエルルイジ・アルタビッラ副町長は、「まるで爆弾の爆発のようだ。みんな絶望しかかっている。あまりに地震が続いて、もう耐えきれない」と話した。

ウンブリア州に隣接するマルケ州のトレンティノ町では、ジュゼッペ・ペッツァネジ町長が「今までで最悪だ。被害は修復不能だ。何千人もの人が表に出て、脅えきって泣いている。これが最後だと思いたい。誰もが心理的にくじけてしまっている」と住民への影響を強く懸念した。

震源地に近いカステルサンタンジェロとプレチでも大きな被害が出ているが、26日夜に相次いだ大きな揺れを受けて、住民のほとんどが避難していた。

伊紙ラ・スタンパによると、カステルサンタンジェロの町長が「みんなすでに退去していた」ため人的被害はないと話した。

付近のウシッタ村やアルクアタ村でも、多くの建物が倒壊したという。

レンツィ首相は、破壊されたものはすべて再建すると約束した。

「非常に大変な経験をしているが、今こうして経験している激しい苦しみと疲労とストレスを諦めに変えてはいけない」と奮起を呼びかけた。

カトリック教会のフランシスコ法王は30日朝のミサで、「負傷した人たち、多くの被害を受けた家族の人たち、そして救急救命関係者のために祈っています」と述べ、大きな拍手を浴びた。


ノルチャの現場から――ジェイムズ・レノルズBBCローマ特派員

相次ぐ地震でノルチャの住民は、不安と疲労にさいなまれている。ステファノさんと家族は、8月の地震以来、キャンピング車で眠っている。屋内で眠るのは危険すぎると判断したからだ。今では、別の地域への引っ越しを検討している。

私がノルチャに到着してから1時間の間に、かなり大きい余震が2度があり、町の古い建物の壁から石やしっくいが落下した。ただでさえ緊張している住民の不安は、余震でさらにひどくなった。

駐車場に救急対策本部が急きょ設置され、防災対策の担当者たちが被害状況を把握しようとしている。

ガソリンスタンドの隣では、町を出ようと荷物をまとめた集団がいた。次の地震をここで待ちたくないのだ。


なぜイタリアで地震が相次ぐのか――ジョナサン・エイモス、BBC科学担当編集員

イタリア・アペニン山脈地域で、わずか3カ月の間にM6以上の揺れが3回起きた。

大局的な状況は比較的よく分かっている。地球規模の地殻運動によって、アペニン地方の地殻が年平均約3ミリずつ、引っ張られているのだ。これは、人間の爪が伸びる速度の約10分の1の速さだ。

このストレスが、山間部を通過する複数の断層の間に広がる。そして山間に張り巡らされた断層の網は、すさまじく複雑だ。

8月の大きな揺れが、近くにある2つの断層に亀裂を走らせたようだと分かってきた。「ラガ」と呼ばれる断層に始まり、「ベットーレ」と呼ばれる断層も割れたようだ。

26日夜の揺れで「ベットーレ」断層の北端がさらに割れた様子だが、8月と26日の揺れによる影響は断層の上層部のみのようで、さらに深い部分が今回の揺れで割れたかどうかが懸念されている。


(英語記事 Italy quake: Norcia tremor destroys ancient buildings

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37819482

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