風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年3月11日

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野村 滋 (のむら・しげる)

株式会社コンテンツ・ファクトリー代表

情報誌会社勤務時代に取材で、創立間もない風の谷幼稚園と出会う。その後12年間、風の谷幼稚園の変遷を追い続けている。風の谷幼稚園の教育実践記『4歳の胸のうち』『5歳の誇り』を同社から出版。

 まずは(1)について。密着レポート第6回で「人や自然と交流できる力」を育てることが、風の谷幼稚園の教育の柱であることを紹介した。このうちの「人と交流できる力」については再三ご紹介してきたが、「自然と交流できる力」について触れておこう。

大自然の中に身を置くことで、子どもたちは豊かな感性を養っていく

 天野園長は「子どもたちに自然を残してあげたい」という言葉をよく口にするが、彼女の言葉は常に実行を伴う。設立当初700坪だった敷地は、先生や父兄の献身的な努力で現在は4000坪にまで広がり、新宿から電車で30分の場所とは思えないほどの自然が保たれている。そして、子どもたちはこの恵まれた環境の中で毎日自然と触れ合っているわけだが、それに加えて大自然の中での合宿が行われるのである。つまり、風の谷幼稚園における合宿とは、「自然の中で生活することによってこそ育つ感性・価値観がある」という信念に基づいた連続性のある教育活動の一環であり、その集大成という位置づけだ。単発で行われる「思い出作り」の観光や遠足ではない。だからこそ、3泊4日という長期日程が組まれ、その期間に大自然を十二分に感じられるような活動が設計されている。

 例えば、合宿初日に行われる「川遊び」。水道水とは違った雪解け水の冷たさは、子どもたちが大自然を感じる手がかりだ。そして、この冷たさもなんのその、川のぼりにも挑戦して大自然の奥深くに突き進む。そして2日目には、年長児全員がゲレンデで一列になって手をつなぐという活動が用意されている。全員が手をつないでも、まだまだ先まで広がる大草原。

 「自然ってすごいな」

 「意外と自分ってちっぽけだな」・・・

 子どもたちが感じることはそれぞれだが、体ごと感じた「自然と人間の一体感」は、心をより豊かに成長させる原動力となる。これが、まさに「自然と交流できる力」なのである。

合宿の成果が上がるのは
事前準備があればこそ

 次に(2)について。家族と別れて異なる生活条件の中に置かれても、「自分の身辺管理は自分でできる」「環境に適応できる」という体験を通じて、3歳児のときから育ててきた生活力を「生きる自信」につなげていくことが合宿の大きな目的だ。見方を変えれば、子どもたちの生活力が実戦で使えるかどうかを試される場とも言える。

 もちろん、本質的な目的は子どもたちに自信をつけさせることであって、テストではない。よって、この合宿が自信につながるように、そのお膳立ても細やかに用意されている。その代表的なものが親向けに行われる合宿説明会と、冒頭で紹介した「合宿だより」の発行である。

 通常、合宿説明会と聞けば、「合宿の行程」や「合宿に持参するもの」の説明を聞く集まりを想像するかもしれないが、風の谷幼稚園のそれは少し異なっている。合宿説明会と言うよりは、「幼児期に定着させておきたい生活習慣」を学ぶ勉強会と言った方がイメージは近いかもしれない。

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