BBC News

2016年11月4日

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英国の欧州連合(EU)離脱について、英高等法院は3日、離脱手続きを開始するリスボン条約第50条を政府が発動するには、議会承認が必要だとの判断を示した。

EU離脱手続きについて司法判断を求めた投資ファンドマネージャーの原告ジーナ・ミラーさんが、高等法院の前で判決を発表し、「上訴しないという賢明な判断」が政府に求められていると強調した。

「今日のこの結果は、私たち全員に関わるものです。私や私のチームのものではありません。私たちの英国と私たち全員の未来のものです」

裁判で政府側の弁護団は、「民意」を形にするにあたって、政府の大権行使は正当な方法だと主張していた。しかしこれに対し、首席裁判官のトマス卿は判決で、「第50条にもとづき欧州連合離脱を通告するための、国王大権にもとづく権限は、政府にはない」との判断を示した。

訴えを審理した判事3人は、EU関連法に関する国王大権(閣僚が代行する権限)行使の憲法上の前例がないと指摘。第50条の発動は、英国民の権利を根本的に変更するもので、議会承認なしに政府が英国法に基づく国民の権利を変更したり撤廃することは認められないと裁定した。

裁判所の判断は「純粋な法律の問題」に対するもので、「欧州連合離脱の利点について法廷は関知せず、いかなる意見も表明しない。それは政治の問題だ」とトマス卿は念を押した。

メイ内閣は上訴する方針。最高裁での審理は来月にも予定されている。

英政府は、国民投票と閣僚に与えられた権限を根拠に、議会投票は不要だとしてきたが、それは違憲だという反論が離脱反対派の間に多かった。

首相報道官は、来年3月末までに第50条を発動する方針に変わりはないと、テリーザ・メイ首相は欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長に説明するつもりだと明らかにした。

解散総選挙を早期に実施するのではという観測については、「2020年まで総選挙は行わないという首相の考えは変わらない」と報道官は述べた。

ブレグジット(英国のEU離脱)担当相のデイビッド・デイビス氏は、高等法院の判断は、貴族院と下院の両方の承認が必要という意味だろうと指摘した上で、政府は上訴すると表明。

デイビス担当相はBBCに、そもそも国民投票は、「下院が6対1で、国民の選択にゆだねようと決めた」から行われたものだと強調し、「議会が尊重するのは国民だ。1740万人が欧州連合離脱に投票した。史上最大の信任だ。英国の国家利益のために最善の形で、その信任に応えていく」と述べた。

一方で野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、「速やかに交渉の条件を議会に提示する」よう政府に呼びかけ、「ブレグジットの条件について議会に対し透明性と説明責任が必要だ」と述べた。

しかし、イギリス独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首は、6月の国民投票で離脱を支持した有権者の51.9%に対する「裏切り」が心配だと延べ、「半分だけのブレグジット」になりかねないと懸念を示した。

BBCのノーマン・スミス政治副編集長は、高等法院の判断によって議会の様々な手続きを通過するのに「何カ月も」かかる可能性があるが、国民投票の結果を受けて大半の議員はたとえ残留派だったとしても、第50条の発動を支持するだろうと解説した。

6月23日の国民投票の結果は、52%が離脱賛成、48%が反対だった。

EUの他の加盟国は、開始から2年かかる離脱交渉は、英国が第50条を発動するまで開始できないと表明している。

(英語記事 Brexit court defeat for UK government

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37868736

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