今月の旅指南

2016年11月25日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

初代 長次郎 黒樂茶碗 銘 大黒
重要文化財 桃山時代(16世紀) 個人蔵

 桃山時代、樂家初代長次郎によって創始された樂焼。その伝統は、代を継ぐ一人だけに技を伝えるという「一子相伝」で、現在の十五代吉左衞門まで、約450年にわたり受け継がれてきた。初代から当代に至る、歴代の作品を一堂に集めた展覧会が、京都国立近代美術館で開催される。

 本展では、長次郎が千利休の「侘(わ)び茶」の思想を反映して創始した樂茶碗の歴史を展観する。注目したいのが、重要文化財の「無一物」「太郎坊」「俊寛(しゅんかん)」をはじめ、利休が常にそばに置いていた「禿(かぶろ)」など、利休ゆかりの長次郎茶碗の数々。

 なかでも、「利休七種(しちしゅ)」と冠される、利休が関わる七つの名碗の一つ「大黒(おおぐろ)」(重文)は、侘び茶の神髄を表現した逸品として名高い。また、長次郎の父は中国から三彩陶の技法を伝えた唐人といわれ、現存する長次郎のもっとも古い作品「二彩獅子」(重文)に、樂焼のルーツとなった技術を垣間見ることができる。

 樂焼は、轆轤(ろくろ)や型を使わず手捏ね(てづくね(手捻り/てびねり))で成形し、窯に入れて炭火を鞴(ふいご)で調整しながら一碗ずつ焼成するという当初の技法で作られる。伝統を守りつつ、時代性を取り入れた、歴代それぞれの「今」と出会えるのも楽しみだ。

●茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術
 <開催日>2016年12月17日~2017年2月12日
 <開催場所>京都市左京区・京都国立近代美術館(市営地下鉄東西線東山駅下車)
 <問>☎075(761)4111
  URL:
http://www.momak.go.jp/
     http://raku2016-17.jp/

*情報は2016年10月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2016年12月号より

 

 

 

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