世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月23日

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 ドゥテルテは暴言を吐くことで知られ、フィリピンのトランプとも言われていますが、米比関係についての発言は暴言として片づけるわけにはいきません。

米国と軍事、経済で決別する

 ただ米国からの決別というドゥテルテの発言の真意は必ずしも明確ではありません。ドゥテルテは中国訪問中、10月20日の経済関係者との会合で「米国と軍事、経済で決別する」と述べました。しかし、訪中から帰国後、ダバオ市での記者会見で、決別とは関係を切ることではない、それは外交政策の決別を意味する、と言いました。ドゥテルテが「外交政策の決別」で何を言おうとしているのかは不明です。CNNによれば、ドゥテルテ事務所は10月21日、フィリピンは同盟国との条約や合意を反故にする意図はないとの声明を発表しました。

 ドゥテルテ自身、自分の発言の重大さに気づいていない恐れがあります。もしそうであるとすれば、ドゥテルテが米国との関係の重要性を十分認識することが重要です。ドゥテルテがどれだけ人の意見に耳を傾けるのか分かりませんが、閣僚や軍部、有識者などが適切な助言をすることが望まれます。

 ドゥテルテはさらに、中国が南シナ海問題でまったく譲歩する考えが無いことを認識すべきです。ドゥテルテ訪中に際して発表された中比共同声明では、南シナ海問題に関し、「関係主権国による直接交渉」によって平和的に解決するとの文言が盛り込まれました。平和的解決とは中国の主張を認めること以外にありえないことを、いずれドゥテルテは知ることとなるでしょう。
ドゥテルテ大統領は10月25日から日本を国賓として訪問しました。それは安倍総理が南シナ海問題についての日本の考えを明確に伝える良い機会となったことでしょう。

  
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