BBC News

2016年11月28日

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キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が25日に90歳で死去したことを受けて、政治犯の釈放を求める家族団体「白衣の婦人たち」は27日、13年来初めて毎週恒例の反政府デモを中止すると発表した。

恒例の反政府デモを中止したことについて、「白衣の婦人」たちは、事態の緊迫を避けるためと説明している。

カストロ前議長の死去を受けて、キューバは9日間の服喪期間に入っている。国内各地で半旗が掲げられている。国民は28日から国内各地の祭壇などで追悼することができるようになる。カストロ氏の遺灰は、1953年にカストロ氏らがキューバ陸軍兵営を襲撃したことからキューバ革命発祥の地とされるサンティアゴ・デ・クーバに運ばれる。

29日には首都ハバナの革命広場で、大規模な追悼式典が予定されている。

BBCのバーバラ・プレット=アッシャー記者によると、ハバナ市内はひっそりと静かだという。

前議長の死因はまだ明らかにされていないが、2006年に腸内出血で重体となって以降、健康状態が悪化していた。

反カストロの亡命キューバ人と家族が多く住む米フロリダ州マイアミでは、祝賀会が開かれている。

カストロ氏は共産主義革命を主導し、1959年に権力を掌握した。キューバを国民の手に返したと評価し、医療や教育など社会福祉政策について称賛する声もある。

一方で、対立や批判を抑圧する強権的な政府の独裁者で、数々の人権侵害の原因となったと批判する声もある。

「白衣の婦人たち」による毎週日曜の抗議デモは、キューバ政府が容認する例外的な抗議行動だったが、数カ月前から警察の取り締まりが強くなっていた。女性たちは教会のミサに出席した後、政治犯の釈放や人権尊重を求めて、ハバナ市内を行進するのが恒例となっていた。

女性たちのリーダー、ベルタ・ソレルさんは「政府が挑発行為と受け止めないように、そして政府が(カストロ氏を)追悼できるように」行進を中止したと説明。「他の人の追悼の気持ちを尊重する。いかなる人間でもその死を祝ったりしない」と表明した。

カストロ氏の訃報に対して「白衣の婦人たち」はツイッターで、「フィデル・カストロが死んだ。神があの男を許されますように。私は許さないので」と書いている。

国内に政治犯はいないという立場を貫くキューバ当局は、「白衣の婦人たち」は米政府から資金援助を受けている団体で、「キューバの社会主義革命を損なおうという(米政府による)何十年来の取り組み」の一環だと批判し続けている。


カストロ氏がいかに米国をはねのけたか

冷戦期間中、カストロ氏は一貫して、ワシントンにとって厄介者だった。

戦術家として優れ、少人数のゲリラ部隊を巧みに指揮し、1959年にはフエゴ・バティスタ率いる軍事政権を打倒。広く国民に支持された。

政権掌握から2年の内に、革命はマルクス・レーニン主義にもとづくものだと表明し、ソ連との連携を進めた。このことからソ連はキューバ国内の核兵器配備を計画。1962年のキューバ・ミサイル危機に至り、世界は核戦争の瀬戸際に立つことになった。

米国から経済制裁を受け、米国による侵攻の脅威に常にさらされながらも、カストロ氏はフロリダ州からわずか145キロしか離れていない国において、共産主義革命を継続。米中央情報局(CIA)が何度も暗殺を試みたものの、嫌悪され批判されたのと同じくらいに崇拝された前議長は、同時代のどの大統領よりも長生きした。米大統領は10人入れ替わったが、カストロ氏はその間、政権を維持し続けた。

カストロ氏は一党独裁国家を樹立し、バティスタ政権の支持者を何百人と処刑した。政敵は投獄し、独立メディアは抑圧した。数万人のキューバ人が国外亡命した。

世界の反応

各国の指導者が、カストロ氏の訃報に弔意を表した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアにとって「信頼できる誠実な友人」だったと称えた。中国の習近平主席は、中国人民が「本物の優れた同志を失った」と追悼した。

ソ連崩壊前の最後の指導者、ミハイル・ゴルバチョフ氏は「フィデルは、米国による実に厳しい包囲網に立ち向かい、すさまじい圧力の中で国を強化した」と評価した。

一方で、ドナルド・トランプ次期米大統領は、カストロ議長を「残忍な独裁者」と呼び、キューバは依然として「全体主義の島だ。キューバの人たちはあまりに長いこと、恐怖に耐えてきた。(カストロ氏死去が)その区切りとなることを期待する。そして素晴らしいキューバの人たちが与えられるべき、自由な未来に向かっていくことを願う」との声明を発表した。

キューバとの国交回復を実現したバラク・オバマ米大統領は、カストロ氏の「巨大な影響」は歴史が記録し判断するとコメント。米国は「友情の手をキューバの人々に差し伸べる」と表明した。

カナダのジャスティン・トルドー首相は、カストロ氏を「毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい存在」としながらもキューバ人の教育や医療を大いに改善した「素晴らしい指導者」だと評したため、野党政治家やソーシャルメディアで非難を浴びた。

(英語記事 Fidel Castro death: Cuban dissidents call off weekly march

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38126853

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