2024年4月20日(土)

WEDGE REPORT

2016年12月1日

 では、トランプ主義はどうなるのか? 今後のトランプの政策、アメリカの変貌などについて、何点か大胆予測してみた。
 
1. メキシコ国境に壁や塀を作る

 最も現実的な政策のひとつである。しかも目に見える。メキシコに直接支払わせるのは難しいので、可能なら借款とし、無理ならばアメリカの予算で補う。労働者の半数以上はメキシコ人か、不法滞在のメキシコ人とし、勤務成績のいいものには市民権を与える。TPPと同様にトランプは言ったことは実行するのだと、コアな信者に見せ、反対派には恐怖を植え付ける。新たなニューディールとなる。

2. イスラム教徒入国禁止

 目玉政策のひとつだが、実行できない。イスラム教国の怒りに油を注ぎ、アメリカへのテロの危険が増す。1924年の排日移民法は日本人の反米感情に火をつけ、太平洋戦争の遠因となっている。しかもトランプ財団はイスラム教国と様々なビジネスを実施している。無言で葬り去る。

3.TPP

 アメリカ抜きで設立する。世界はアメリカのために存在しているわけではないことを示す必要がある。すなわち、現在日本での牛肉輸入関税率は38.5%、TPP発効時に27.5%に引き下げられ、16年目に9%になる。豚肉も同様に参加国に有利になる。2国間自由貿易協定を作るにもそれには時間がかかるのだ。「日本、アジアの市場をオージービーフに席巻されてもいいのか!」。「メキシコポーク、カナダポークに席巻されるぞ!」。米国内の反トランプのマスコミが黙っていまい。しかも、アメリカ抜きなので、日本国内産業への悪影響も緩和される。

4.NAFTA(北米自由貿易協定)

 TPPよりもすでに存在するNAFTAのほうが日本企業への影響が大きい。メキシコには自動車産業を中心にアメリカ向け輸出を目的とし約1000もの日系企業が進出している。もちろん、アメリカ企業のほうが遥かに数は多い。メキシコからのアメリカへの自動車輸出割合はGM 、フォード、FCAなどで50%以上を占める。脱退するというのは交渉戦術であり、トランプはアメリカに有利なように条項を変えようとしている。ただし、メキシコペソが急落しているので、もし輸入関税を課されたとしても、影響はある程度相殺される。

5.テロと暗殺

 チャべス元大統領がそうであったように在任期間中、暗殺に怯える日々を過ごす。アメリカ市場を失うかもしれないラテン系麻薬カルテルとイスラム過激派が共闘する。2年後、3年後には、彼らによるテロが起こる。

6.アメリカとトランプ大統領はどうなる

 新たな政策を行えば、別な部分に血液が流れるので、一時は景気も良くなるし、インフラも改善される。たとえば、ヒトラーは廃墟の中にアウトバーンを残した。けれども、財政赤字は必死。社会の分断、他国との軋轢などから、4年後のアメリカの未来が明るいとは思えない。トランプ大統領の行く末も不安だ。

  
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