2024年4月24日(水)

古希バックパッカー海外放浪記

2017年1月1日

神仏同一論は宗教対立とテロリズム防止をもたらすのか

ラグーサの街のバロック様式のアパート

 マリアになぜ全ての宗教の信仰対象が同一であると考えるのか理由を質すと「それぞれの宗教が唯一無二の絶対的存在として信仰対象を規定している。仮にそのような信仰の対象が複数存在するとなると宗教間で矛盾が生じる。唯一無二の絶対的存在を様々な角度から解釈してそれぞれの宗教が信仰対象としていると考えれば論理的矛盾は解消する」とのコメント。

 マリアはさらに「もし全ての人間がこの考え方を認めれば宗教対立は争いの根拠が無くなる。むしろ宗教間の融和が促進されることになる。そしてアルカイダとかイスラム国だとか宗教に名を借りたテロリズムも正当性を失うことになる。」と熱心に語った。私も彼女の見解に賛同しマリアの指摘のように世の中が変わることを願った。

中国女性が指摘、
コーランの「聖戦(ジハード)」規定がテロリズムの温床

 “続・地中海遥かなり”の旅を終えてからもマリアの神仏同一論はどこか心の中にモヤモヤと引っ掛かっていた。神仏同一論だけでテロリズムは抑えられるのだろうか。私はそもそもコーランに“異教徒との闘いで死んだ勇者は天国に行く”とテロリズムを奨励するような聖戦(ジハード)の規定がある限り狂信的イスラム教徒のテロリズムを論理的に否定することはできないと悲観していた。

 今年(2016年9月)インド旅行中に知り合った中国広西省出身33歳の女性バックパッカー、麗媛(リーエン)は非共産党員の普通の庶民である。大学で品質管理専攻後に長年雲南省昆明の食品工場で勤務。半年前に工場を辞めて貯金を全部おろしてバックパッカー旅に出たという。

 イスラム過激派問題について私より明確かつ強固にコーランの「ジハード」規定を論難した。その場でタブレットをネットに接続して中国語に翻訳されたコーランの聖戦の段落を私に示して解説したのである。

バロック様式の建築で覆われているラグーサの街並み

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