WEDGE REPORT

2016年12月1日

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 ロムニー氏を推している勢力は新政権が、ホワイトハウスの首席戦略官に超右派のスチーブン・バノン氏が任命されるなど“強硬政権”と見られる中で、バランスも必要だと考えている人たちだ。このグループには、ペンス次期副大統領やプリーバス首席補佐官らがいる。「バッド・コップ(憎まれ警官)ばかりではなく、グッド・コップ(良い警官)も入れるべきだ」というわけだ。

 しかしこれに対してトランプ氏の過激路線を支えてきた右派グループはロムニー氏を起用するのは「支持者への裏切り」(コンウエイ上級顧問)、「ロムニーは自分第1の利己的人物」(コリンズ下院議員)などと激しく反発。コンウエイ上級顧問はテレビ局をはしごしてロムニー非難を叫んでいる。

“不倫将軍”にもチャンス

 ロムニー反対派が最も懸念しているのは「忠誠心」の問題。大統領の政策を推進するのではなく、ロムニー氏が国務省を勝手に仕切ってしまうのではないかと憂慮しているのだ。反対派はロムニー氏がまず、選挙期間中のトランプ氏への侮辱発言を謝罪すべきだとも主張しているが、ロムニー氏はこれまで謝罪はしていない。

 ロムニー氏は「メキシコ国境での壁の建設」や「ロシアとの協調」といったトランプ氏の主張とは意見を異にしている。しかし、為替操作の疑いがある中国への厳しい対応、エルサレムへの米大使館の移動、不法移民の退去政策など考え方を共有する分野も多く、ロムニー支持派の推挙理由になっている。

 米国では、新大統領が選挙期間中に批判し合った相手を政権の要職に据えるケースはままある。例えばオバマ氏とクリントン氏は08年の予備選挙でやり合ったが、大統領に当選したオバマ氏はクリントン氏を国務長官に起用した。

 ロムニー氏をめぐって両派の対立が深まる中、第3の国務長官候補としてイラク駐留軍司令官を務め、オバマ政権で中央情報局(CIA)長官だったペトレアス将軍が浮上した。トランプ氏が28日に同氏と面談し「非常に感銘を受けた」と好意的に評価しており、同氏にもチャンスがあると見られている。

 ペトレアス氏は2012年、オバマ政権のCIA長官時代に不倫相手の伝記作家ポーラ・ブロードウエルさんに機密情報を漏らしたスキャンダルで辞任に追い込まれた。しかしトランプ氏は選挙期間中から、民主党のクリントン氏のメール問題に比べれば、ささいな問題と主張してはばからなかった。

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