世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年12月5日

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 上記論説は、西側は、決意、一貫性、関与、尊敬の4つのキーワードに基づいて、今後の対ロ関係を進めるべきであるという政策提言です。そのそれぞれについて筆者が何を考えているのかは論説で説明されています。

 決意、一貫性、関与で述べられていることには賛成です。

プーチンを傷つけたオバマ

 ただ、尊敬については、オバマ大統領のようにあからさまにプーチンを傷つけるような発言をすることはありませんが、プーチンの国際法違反行為をとがめることと、プーチンに敬意を示すことを両立させることは難しいのではないかと思われます。外交では尊敬しているふりをすることも必要ですが、大きな原則問題があるときには、それを優先して論じるべきでしょう。

 上記の提言には大筋で賛成ですが、国際法規範の尊重のような重要な論点が抜けています。プーチンの性格や西側とロシアの作用、反作用に注意を向けた論説ですが、どちらかというと、戦術的観点に重点をおいた論説です。もっとロシアの行動を戦略的視点からとらえた議論が必要であるように思われます。

 ロシアの衰退については、これを大げさに言うことはありませんが、今のままではロシアの将来は極めて暗いと考えられます。人口は減っています。自然減のほかに、有能な若者が政治的な抑圧、劣悪な教育、劣悪な医療、所得格差、社会的不公正に愛想をつかし国外に出ています。石油・ガス頼りの経済成長は石油価格がシェール革命で構造的に抑えられているので、もう望めず、資源依存経済脱却はうまくいっていません。サウジのほうが大胆に取り組んでいます。

 再度ペレストロイカをしないとどうしようもありませんが、プーチンの政権はその基盤がそれを行うようにはなっていません。民主化し、自由化し、才能あるロシア国民の活力を引き出すのがロシア再興の道ですが、ロシアの指導層は自分に利益を与える現在のシステムを維持することに熱心で、ロシアの問題は外部が作り出しているなど、恨み言ばかり言っており、これでは衰退は止められないでしょう。もうすでにロシアのGDPは中国の10分の1くらいです。

  
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