2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年12月23日

 この社説の趣旨には賛成できます。ロシアは、カリーニングラードへのイスカンデル・ミサイル配備によって、米国のSM-3配備に対抗し、米、ポーランドへの軍事的圧力をかけることを目的にしています。こういう軍事圧力にはまず屈しないことが重要です。屈すると軍事挑発、圧力が有効であることになり、ますますそういうやり方を奨励することになります。トランプがどう対応するかは予測不可能ですが、常識的にはポーランドへのSM-3配備は計画通り行うべきでしょう。

 プーチンは、「ロシアは対外的に活躍し、世界の動きに大きく影響を与えている」とのイメージを作り出し、それをプーチン政権への国民の支持を高めるために使っています。2018年の大統領選挙の前に、プーチンはロシアの国際的地位を向上させた人物となることを望んでいるように思われます。シリアでの軍事介入、東部ウクライナ侵略、カリーニングラードへのミサイル配備もそういう結果につながると考えている可能性があります。

新しい冷戦

 対日関係では、北方領土交渉が安倍・プーチン間で行われている最中、北方領土への対艦ミサイル配備の発表が行われました。これは露骨な対日牽制であり、現在の日ロ関係の雰囲気を阻害するものとして、抗議すべきものでしょう。

 ロシアは「新しい冷戦」を戦う力(2015年IMF統計ではGDPの規模はロシアは韓国以下)など全くないのに、西側に対し挑発的な出方をしています。緊張を作り出し、その緩和の代償として何らかの利益を得ようとするのは、共産国、なかんずく、ソ連の得意技でした。こんなものには乗せられないということを、行動で示すことが重要です。

  
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