イノベーションの風を読む

2016年12月24日

»著者プロフィール
閉じる

川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

グループヘルス

 企業ウェルネス担当のエイミー・マクドナー(副社長)は、フィットビットのグループヘルスの取り組みを紹介した。

マクドナー グループヘルスのミッションは、すべての組織(企業や学校など)が魅力的で効果的なウェルネスプログラムを実施できるように、技術とサービスによって支援することです。企業の経営者にとって、どのようにして従業員にウェルネスプログラムに参加し継続してもらうかが大きな課題です。フィットビットのソリューションは、過去8年でフォーチュン500の70社など、多くの会社に導入されました。米国では20%の従業員がウェルネスプログラムに参加していますが、フィットビットのソリューションを導入した会社では70%から90%の従業員が参加しています。

 マクドナーは「会社員の1カ月の平均残業時間が米国では33.6時間であるのに対して、日本では40.9時間、そしてフィットネスクラブへの加入率は人口比で米国が16%なのに日本は3%に過ぎない」と、日本企業のウェルネスプログラムへの取り組みの必要性を説明した。「フィットビットのソリューションは、それぞれの企業のウェルネスプログラムに統合することができ、そして導入の効果の測定が可能です」と、その優位性を訴える。

 フィットビットは契約した企業で、ウェルネスプログラムの一部として従業員にデバイスを支給してその導入(投資)効果を測定した。その結果、フィットビットを導入してからの2年で、参加者の健康管理のコストが、プログラムに参加していない従業員に比べて46%(1人あたり年間1242ドル)減少した。特にローステッパーと呼ばれる1日に6500歩程度しか歩かない人たちの場合は60%近く減少するという。

 損保ジャパン日本興和ひまわり生命においても、従業員にフィットビットのデバイスを支給して、日々の健康管理に活用してもらっているとの紹介があった。次のステップでは健康保険組合と共同で、病気と活動量の因果関係を分析し、そのデータを革新的な保険商品を開発するために活用する計画だという。日本でも、企業での従業員の健康管理にITを活用する取り組みが増えてきた。従業員が自分の検診データをスマートフォンアプリから閲覧できるようにし、そのデータに基づいて健康保険組合が情報提供を行うための仕組みを提供するサービスも存在する。

 12月8日のNHKニュースは、自治体が実施している「健康ポイント制度」に医療費を抑制する効果があることが初めて実証されたと報じた。「健康ポイント制度」とは、国が取り組んでいる「スマートウェルネスシティ」プロジェクトの一環として実施されているもので、健康診断を受けたり健康に関するイベントに参加することなどでポイントを獲得し、それを商品券などに交換できるという制度だ。調査によって、運動への無関心層を掘り起こす一定の効果が確認され、参加した40代以上のおよそ1700人の昨年度1年間の医療費について、参加しなかった人と比べた結果、1人当たりおよそ4万3000円を抑えたことがわかった。その結果を基にシミュレーションすると、全体で5億円ほどの医療費の抑制効果があり、健康ポイント制度の事業費を3億円余り上回るという。 日本のグループヘルスの市場にも、フィットビットにとって大きなチャンスがありそうだ。 

関連記事

新着記事

»もっと見る