世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月6日

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 ハモンド=チャンバース米台経済協議会会長が、12月4日付のウォールストリートジャーナル紙で、オバマ政権が台湾との関係強化に及び腰であったことを批判し、トランプが慣例を破って蔡英文との会話に応じたことを、米台・中台関係を進めるきっかけにすべきと好意的に論じています。要旨は以下の通りです。

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 台湾の民主的に選ばれた指導者からの祝福の電話は、次期米大統領が執務室に入るに当たって応じるべきものであった。米台関係は米国の国益の漂流を示すよい例である。オバマ政権は「これまでで最高の関係」と宣言するのが好きだが、こうした評価はどちらの側にも関係を強化する熱意がないことを前提とした。両国が中国との関係に気を使いすぎたことが、中国をより大胆にし、台湾海峡の不安定化を助長した。その結果、米台関係には危険な真空が広がりつつある。オバマ政権は台湾関係法で保証されている対台湾武器売却を全面的に停止しているし、貿易関係も弱まっている。

 他方で、中国は平和的・軍事的手段によって、台湾を統一・占領しようとしている。中国は、経済統合とともに、侵攻を視野に入れた軍事近代化に注力している。台湾を狙う巡航・弾道ミサイルは、既に2000基近くある。米国はこの挑戦に応じることに失敗し、その空白に蔡英文が選出された。これに対する中国の対応は、台湾政府との直接的コミュニケーションを遮断し、中国人の台湾への観光を制限し、商取引を阻害することであった。

 中国は、南シナ海で敵対的活動を行い、日本と台湾の領空を侵害し、米国の商用・軍事技術を窃取し、企業を脅かしている。そして米国から窃取した技術によってなされた中国軍の近代化が、米軍の脅威となっている。アジアを不安定にしているのは中国の行動であることを、トランプは理解しているようだ。

 北朝鮮、イラン、気候変動など多くの問題に関しても、中国は自己の核心的利益のために行動し続けるだろう。台湾問題について、米国は「中国の怒り」を買わないよう気遣いをしがちであるが、それは無駄である。

 トランプは蔡英文と会話をし、支持を表明した。米メディアは、次なるトランプ騒動だと囃し立てる代わりに、習近平にもトランプの例に倣って蔡英文と電話するよう奨励したらいい。それが台湾関係の緊張緩和に繋がるかもしれない。

出 典:Rupert Hammond-Chambers  ‘America’s Dangerous Drift on Taiwan’(Wall Street Journal, December 4, 2016)
http://www.wsj.com/articles/americas-dangerous-drift-on-taiwan-1480886653

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