2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2016年12月29日

四家 千佳史(しけ・ちかし) 1968年生まれ。97年建機のレンタル会社を創業、2008年レンタル会社社長、15年1月からコマツ執行役員・スマートコンストラクション推進本部長。福島県出身(日本記者クラブ提供)

 国土交通省も人出不足に対応して建設工事に関する設置基準を変えるなど、対応策を取ってきていた。その中でこの手法が同省の目にとまり、9月12日に開催された第1回未来投資会議の中で、建設生産性革命とその推進のための具体策としてコマツのスマートコンストラクションが取り上げられた。

 この会議に出席した安倍晋三首相からは①建設現場の生産性を25年までに20%向上させる②3年以内に橋梁、トンネル、ダムなどの公共工事現場で測量ドローンを投入して施工、検査の工事プロセスを3次元データでつなぐ新しい建設手法の導入を目指すとの発言があった。この手法を建設現場に導入することで、人手による現場作業がICTを搭載した機械に置き換わり、これまで習得するのに何年もかかったノウハウも数か月で身に付けられるようになり、建設現場特有の3Kのイメージを払しょくし、人手不足も解消できるとしている。

分かりやすい説明が大事

 四家本部長は「ITの技術が組み込まれたスマートコンストラクションの手法を小さな建設会社が受け入れるには抵抗感があるので、無理に教えるのではなく、じっくり分かりやすく説明して、少しずつ理解してもらうしかない。スマートコンストラクションは大きな建設会社が大きな現場でしか使えない手法のように思われがちだが、コンビニの駐車場工事のような小さい現場でも使われている」と話す。中にはこのスマートコンストラクションを導入して売り上げを数倍に増やした中小企業の建設会社もあるそうで、中小業者への売り込みを積極的に働き掛ける。

 ただ、現状ではスマートコンストラクションを行うにはITを駆使したブルドーザーなどは従来のものと比べてどうしても割高になる。このため、資金的に余裕のない中小企業では使いたくても使えない面がある。四家本部長は「ITを駆使したICT建機の普及はまだ1%未満しかなく、30%くらいまで普及してくれば建機のコストも下がってくる」と指摘、価格低下による普及拡大を期待している。


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