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2016年12月27日

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マット・マグラス、環境担当編集委員

地上で最も速く走る哺乳類、しなやかで素早いチーターの数が激減し、急速に絶滅に向かっていることが26日発表の新しい研究で分かった。英ロンドン動物学会の報告によると、野生で生息するチーターはわずか7100頭しか残されていないという。

チーターは野生動物の保護区を出て広範な範囲を移動するため、人間と接触する機会が多く、危険にさらされやすい。このため、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された報告論文の筆者たちは、チーターを早急に、絶滅危急種から絶滅危惧種に分類を引き上げるべきだと呼びかけている。

研究によると、生存する野生チーターの半数以上は、アフリカ南部6カ国を移動するひとつの集団を形成する。チーターは広範囲を移動する肉食獣で、野生保護区の範囲をはるかに越えて移動する。生息地の77%は、国立公園や保護区の圏外だ。その結果、行動圏の多くは農地に開拓され、餌とする野生動物は人間が食用に狩ることが多いため、チーターに行き渡らなくなっている。

ジンバブエでは16年間で頭数が1200頭からわずか170頭に減少。土地の保有形態の変化が、その最大の要因だという。

調査報告の担当者たちは、狩りの名手と珍重されるチーターに迫る危機は、これまであまりに長く見逃されてきたと懸念する。

「チーターは人目を嫌い、行動が捉えにくいネコ科の動物で、確実なデータを集めるのがこれまでは困難だった。そのせいで、厳しい状況がこれまで見逃されてきた」。筆頭著者でロンドン動物学会のサラ・デュラント博士はこう言う。

「チーターの生息には、広い面積が必要だ。加えて、野生動物は複雑に絡み合う様々な脅威に直面している。そのため従来の想定よりもはるかに、絶滅の危険に対して脆弱だろうと思われる」

チーターについては、BBCがすでに報道したように、湾岸諸国で子供がおしゃれなペットとして珍重されているため、密猟が横行している。

子チーターは闇市で1頭最大1万ドル(約115万円)で取り引きされることもある。チーター保護基金によると、過去10年間でアフリカから約1200頭の子チーターが密輸されたが、約85%が移動中に死亡した。

今年9~10月に南アフリカで開かれたワシントン条約(CITES)会議では締約各国が、ソーシャルメディアを使ったチーター販売広告の禁止など、取り組みを約束した。

しかしこの種が長期的に存続するためには、保護区や行動圏確保の問題に早急に取り組む必要がある。

ロンドン動物学会の報告は、野生動物保護の取り組みの「パラダイム・シフト」を提唱し、単に特定の地域を保護区だと宣言するのではなく、「動機付けにもとづくアプローチ」の導入を呼びかけている。つまり、地元住民が危険な猛獣扱いする種族について、保護すれば金銭的報酬が得られる仕組みを作ることだ。

論文の共同執筆者で大型ネコの保護団体「パンセラ」の研究者、キム・ヤング=オーバートン博士は、「保護区を確保するだけでは不十分だと言うことが、この決定的な調査から判明した」と指摘。「行動圏の広いこのネコたちは、保護されている土地も保護されていない土地も移動する。モザイク状に広がる保護区と非保護区の両方にわたり、より大きい取り組みで守らなくては、チーターを永遠に失ってしまう」。

チーターがいかに深刻な危機にさらされているかを十分把握するためには、絶滅の危機に瀕している世界の野生生物の「レッドリスト」を管理する国際自然保護連合(IUCN)が、チーターの分類を「絶滅危急」から「絶滅危惧」に引き上げる必要があると、報告書は呼びかける。

チーターは加速しながら急速に絶滅に向かっていると懸念する筆者たちは、「絶滅危惧種」に指定されることで国際的な保護活動が形成されるのを期待している。

(英語記事 Cheetahs heading towards extinction as population crashes

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38441119

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